TENGA(本社・東京)のセルフプレジャーアイテムなどがそろう常設店「TENGA LAND(テンガランド)」が、東京・原宿の「東急プラザ原宿『ハラカド』」内にオープンしました。高級ブランドのショップが立ち並ぶおしゃれなエリアに出現したコンセプトストアのテーマは、「愛と自由のワンダーランド」。TENGAと縁が深いコラムニストの辛酸なめ子さんと一緒に訪ねてみました。

2011年に開催された「TENGA展」に写真家・荒木経惟さんが作品を出品した際、被写体の一人となった辛酸さん。2017年発売のエナジードリンク「TENGA NIGHT CHARGE」のウェブCMにも出演した経験があります。

「性に対して苦手意識がある私に、神様が与えてくれたありがたい機会なのかもしれません」と、TENGAとの縁を語ります。

店頭に足を踏み入れると、「えっ、これはまるで、回転ずし!」と辛酸さんが思わず驚きの声を漏らしました。

目の前にあったのは、木目が温かな雰囲気を醸し出す「TENGAの丘」。ストアのシンボルとも言うべきものだそうで、丘の周囲には全長7メートルを超えるレーンが巡らされています。そのレーン上には、男性向けブランド「TENGA」と女性向けブランド「iroha」の人気アイテムが並び、来店客を歓迎するかのようにくるくると回っています。

丘の中央に立つシンボル・ツリー「生命の樹」は、TENGA社が目標に掲げている「生きている、すばらしさを。」という精神を表現したものだそうです。

「TENGAの丘」にあるirohaのアイテムの中から、辛酸さんが手に取ったのは、リップスティック型の「iroha stick」でした。2016年11月に発売されて以来、累計出荷数が55万個を超え、irohaアイテムの中で国内販売数ナンバーワンを記録する人気商品です。

ぱっと見ただけでは、かわいらしい口紅にしか見えません。ところが、スイッチを入れると、激しくパワフルに振動します。「コンパクトなのに振動が強くて驚きました。なのに、音がそんなにしないのもいいですね」と辛酸さん。

irohaブランドマネジャーの真仲潤さんは、「ある泌尿器科の先生が言うには、セルフプレジャーでオーガズムを得ると、リラックスして入眠しやすくなるほか、外陰部の血流アップなどにより健康維持にもつながるそうです」と隠れたメリットを紹介。

「セルフプレジャーを身近に感じてほしい」と、生活になじむデザインを提案しているともいい、「動物をモチーフにしたものなど、かわいらしいアイテムも多いので、『ちゃん』付けで呼んでくださるお客様もいらっしゃるんですよ」と熱く語ります。

これに対し、辛酸さんは「繊細だけれど力強い振動で、これはマッサージガンとして首や肩にも使えますね」。スティックの別の使い方も発見してしまったようです。

デザイン性が豊かかつ高性能の商品がずらりと並んでいるのを見て、辛酸さんが「こんなにセルフプレジャー文化が発達すると、男女とも自分一人で満たされてしまい、ますます日本人がセックスレスになってしまいそうですが……」と本音をぽつり。

それに対し、「セックスとセルフプレジャーでは満たされるものが異なるので、1人でも2人でも、それぞれの良さを楽しんでいただきたいですね」と応じたのは、TENGA社の国内マーケティング部長で、大手小町でコラムを連載中の西野芙美さん。「セルフプレジャーで自分の心地良いところを知っておくと、セックスがもっと楽しくなります。両者は対立関係ではなく、補完関係にあると言っていいかもしれません。TENGAにはカップルで使えるアイテムもあるので、ぜひご自身のニーズに合わせて、色々試してみてほしいです」と勧めてくれました。

「TENGAの丘」の向こうには、真っ赤な自動販売機が設置されています。どう見てもコカ・コーラを販売していそうなのですが、その中には漢字で「原宿」と大きく書かれた「GOTOCHI TENGA」と、花柄のデザインが美しい「HAPPY FLOWER TENGA」の2種の男性用カップが入っていました。どちらもテンガランドの限定商品です。

この自販機で購入すると、約100回に1回の確率で金色に光り輝く「LUCKY TENGA」カップが出現するそう。自販機の横には、新進気鋭のアーティストとコラボしたTENGAの新プロジェクト「TXA」のTシャツなどの衣服も並んでいます。

単に商品を販売するのではなく、「楽しみながら手に取る体験を入り口にして、性の楽しさや自由さに触れてほしい」(店長の水谷佳史さん)という狙いから、無料で挑戦できる「TENGAゲーム」のコーナーも設置されています。迫り来るモンスターをTENGAのカップの形をした大砲で迎撃し、地球を守るというシューティングゲームです。

また、人気のアパレルブランドなどのモチーフをデザインにあしらったTENGAの歴代コラボレーションカップが展示された「TENGAギャラリー」もありました。

ランド内をじっくり見て回った辛酸さん。「まさに性のアミューズメント施設で、ポジティブな気分になれます。TENGAやirohaを見て想像が膨らみ、血行が良くなってきました」と、笑顔を浮かべていました。(聞き手・読売新聞メディア局 市原尚士、撮影・吉川綾美)