天井からたらした布地でベッドを包む装飾「天蓋(てんがい)」が子育て世代を中心に人気だ。寝室を華やかに演出する魅力があり、就寝時に冷房の風よけになるといった実用性もある。

東京都大田区の女性会社員(26)は自宅のシングルベッド周辺の雰囲気が物足りなく感じ、ベッド上部に円形の天蓋を設置した。天井1か所にフック付きのねじを取り付けてつるした。ワイヤからレースがたれて、裾に向かってふわっと広がる。その中で寝たり、お菓子を並べる「女子会」を友人と満喫したり。「見た目がかわいらしく、お姫様の気分を味わえる」

千葉県船橋市の家具店「IKEA Tokyo―Bay」ではこうした1点つり下げ式の天蓋「ブリーネ ネット」(1499円)を展示販売している。多くは20、30代の女性が購入し、自分や子どもの寝室で活用しているという。天蓋のレースは白で、高さ約230センチ。ピンク色や植物柄のベッドカバーと合う。

運営会社「イケア・ジャパン」のベッドルーム担当、平井たからさんは「天蓋をベッド中央の上に取り付けるとレースがきれいに分かれ、美しく見えます」と話す。レースにリボンなどのかわいい飾りや発光ダイオード(LED)のチェーンライトを付けるアレンジも楽しめる。

ニトリも昨年、同様の商品「モスキートネット」(2990円)を発売した。ワイヤで組んだ円形部分の直径は約60センチ、半透明の白のレースの高さは約260センチ。ニトリホールディングス広報部の岩脇由依さんは「レース生地に包まれると心が落ち着き、リラックスして眠れると好評」と話す。夏は蚊帳にもなる。

天蓋は中世ヨーロッパで貴族が暮らす城の広間で取り入れられ、少女漫画などではお姫様がベッドで愛用する様子が描かれた。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんは「華やかさや非日常感が魅力。憧れから取り入れる人も多い」と話す。手軽にプライベート空間を作れ、エアコンの風や照明の光を和らげる効果もある。

よりロマンチックな気分を味わいたければ、存在感のある4点つり下げ式の天蓋がお薦めだ。ベッドの周りにポール状の柱を取り付け、レースを四方からたらす。

東京や名古屋に拠点を持つ輸入家具販売会社「ウエストハウス・ギャラリー」は、こうした天蓋をオーダーメイドで販売する。丈夫なマホガニー材で柱を組み立て、金具で固定。天蓋の上部には紋章などの彫刻を施す。ベッドカバーやソファなどの家具の色調と合う、ピンクや白色などの天蓋が独身者や子育て世代に人気という。

設置するには天井高が2メートル程度必要で、同社取締役の杉山瑛一さんは「部屋のはりやエアコンに天蓋が当たらないよう、寸法を確認する必要があります」と話す。

ただ、寝室が狭い場合は、圧迫感が少ない1点つり下げ式の天蓋を藤原さんは薦める。また、天蓋のレースはほこりなどで汚れがちだ。簡単に取り外せて洗濯できる布地を選ぶ。開いたままにしていると子どもが踏んで転んだりすることがあり、「使わない時はタッセルなどで束ねておきましょう」と藤原さんは話している。(読売新聞生活部 岩浅憲史)