映画「彼女来来」でメガホンを取る山西竜矢監督と、主演を務める俳優の前原滉さん。同作は、キャスティング会社で働く30歳の佐田紀夫(前原さん)は交際3年目になる恋人・田辺茉莉(奈緒さん)と平穏な毎日を過ごしています。ある日、帰宅した紀夫は奇妙な感覚に襲われ、気が付くと、部屋にいたはずの茉莉の姿はなく、見知らぬ女性、マリ(天野はなさん)が現れ…失踪した恋人を捜しながら、別人との奇妙な関係に陥っていく男を描く恋愛映画です。

 オトナンサー編集部では、前原さん、山西監督に単独インタビューを実施。物語を思い付いたきっかけや台本の感想などを聞きました。

恋愛の美しくない部分を物語に

Q.物語を思い付いたきっかけを教えてください。 

山西監督(以下敬称略)「僕は恋人に『君だけだよ』みたいなことを割と言ってしまうんですが、あるとき、お付き合いするたびにそのフレーズを使っている自分に気付いたときがあって、それが気持ち悪いと思ったんです。でも、それって僕に限った話ではない気がして。

それで、今回はそういう恋愛の美しくない部分を物語にしようと思い、今の恋人と前の恋人の間に流れている時間を取り除いたら、という発想に至って、恋人がすり替わるところから始まる現状のストーリーの形になりました」

Q.台本を読まれていかがでしたか。

前原さん(同)「一見不思議な現象から始まる映画ですし、いろいろな要素が詰まっていますが、読み進めていくうちに日常の話だと思いました。自分に置き換えてみたときに、理解できる行動や状況も多くて、思っていた以上に自分に近い話だと思いました」

Q.紀夫に似ているところはありましたか。

前原「男性は誰でも、紀夫のようなところを持っていると思います。男って弱いですよね。その弱さは僕にもあります」

山西「男女が逆でも同じようなことは起こる気がします。良い悪いは別にして、触れ合う時間が長いものをパートナーとして捉えるって、人間みんな持っている性質だと思います。そういう意味で言えば、誰しも似ているところはあるのかもしれません」

Q.映画のように、家に帰ると知らない女性がいたらどうされますか。 

山西「もちろん、状況によりますが、映画のように許容していく可能性もあるんじゃないですかね」

前原「パニックになると思うし、怖いと思います。幽霊と思うかもしれないし、部屋から出ていくと思います。友達か知り合いを呼んで、一緒に対応してもらう気がします(笑)」

Q.天野さん、奈緒さんの印象を教えてください。

前原「奈緒ちゃんは一番共演している女優さんです。しゃべっていても、お芝居していてもすごく安心できます。こうした方がいいという細やかな話もしませんし、いろいろ言い合わなくても大丈夫な、信頼できる女優さんです。はなちゃんもすごく頼りになる女優さんです。でも、奈緒ちゃんに近いところもありつつ、より奔放な印象というか。僕の感覚では姉妹みたいな感じなんですよね」

山西「全然違うお二人ですが、似た雰囲気があるんです。お二人とも別方向の大きな魅力をもった役者さんです。一言で言うなら、天野さんは浮遊感のある希少なお芝居をできる方で、奈緒さんは聡明(そうめい)で芯のある、かっこいいお芝居をされる方だと思います」

Q.現場の雰囲気はいかがでしたか。 

前原「全体的に年齢層の若い現場で、30代が一番上、ほかは20代でした。それもあって、いい意味のラフさがある現場だったと思います。でも、緩くなるときは山西監督が締めてくれていて、ラフになりすぎないようにバランスよくまとまっていました」

山西「キャスト、スタッフ皆がお互いを思いやれる人ばかりで和やかな現場でした。でも、前原君のおかげでいい雰囲気を保てていた部分は大きいです。コロナ禍の合間を縫う大変な撮影の中、柔らかく立ち振る舞いつつ、しっかり引っ張っていってくれました。本当に感謝しています」

 映画「彼女来来」は全国公開中。