「歯並びがガタガタで恥ずかしい」「きれいな歯並びに憧れている」など、自分の歯並びを気にしているという人は少なくないでしょう。歯並びを整えるには歯列矯正治療を受ける選択肢もありますが、中には「そもそも、どうして、悪い歯並びになってしまったんだろう」「歯並びはどのタイミングで決まるの?」「歯並びも遺伝する?」など、歯並びの形成そのものに疑問を持つ人もいるようです。

 なぜ、悪い歯並びになってしまうのでしょうか。歯並びに影響するさまざまな要因について、五反田駅前歯医者(東京都品川区)院長で歯科医師の大木烈さんに聞きました。

Q.そもそも、歯並びとは、どのようにして形成されるものなのでしょうか。

大木さん「乳歯の場合、先天性の異常がなければ、そもそもの歯のもととなる組織の場所によって歯の位置が決まります。その後、舌の動きや指しゃぶりなどの習癖によって歯並びが変わっていきます。永久歯の場合、顎の骨の成長や歯のもととなる組織の位置に加え、乳歯の歯並び、食生活、発音、呼吸、口周りの筋肉の動き、乳歯の状態(虫歯の有無)など、非常に多くの影響を受けて歯並びが形成され、変化していきます」

Q.永久歯の歯並びは、いつごろ決まるものなのですか。

大木さん「両親の骨格を遺伝的に受け継ぐ可能性が高いので、おおよその歯並びは生まれる前から想定できます。なお、実際の歯並びがおおむね確定するのは8歳ごろです。歯列矯正治療を始めるのに適した時期も、前歯の横の歯(側切歯)が生えてくる8歳ごろで、その時点で歯が並ぶスペースがない場合、治療をしなければ、歯並びが悪くなる可能性が高いです。

また、永久歯が生えそろった時点で不ぞろいな状態の歯並びは一生かけて、どんどん悪くなります。歯はきれいに並んでいる人の場合でも、一生涯かけて、真ん中に寄っていく性質があるため、歯並びが不ぞろいな人は歯列矯正治療をしない限り、ずっときれいにはなりません。また、歯周病が悪化すると、歯を支える顎の骨が時間とともに溶けていくことがあり、それによって、歯並びが悪くなってしまうこともあります」

Q.いわゆる「悪い歯並び」になり得る要素・影響として、どのようなことが考えられますか。

大木さん「乳歯が生えてからの指しゃぶりや舌を突き出す癖、口呼吸、スプーンをかじるといった行為の習慣化が影響します。食生活でいうと、近年はやわらかい食べ物を好む人が多く、それによって、顎の成長が妨げられるケースがあります。また、鼻炎やアデノイド(鼻の奥のリンパ組織の塊)肥大による口呼吸、唇が割れている唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)、顎の成長に影響を及ぼす先天性の症候群といった、鼻や口の病気の影響も考えられるでしょう。

遺伝的要素は先述の通り、親の骨格や歯並びの影響を大きく受ける傾向があります。乳歯の虫歯によって永久歯が影響を受けることで、生える位置の異常を起こすこともある他、乳歯が抜けた後の穴の部分を持続的・継続的に舌で押すことによって、その部分の両側の歯が動いたり、生えてきた永久歯が動いたりするケースもあります」

Q.子どもを持つ親の中には「夫婦そろって歯並びがよくないから、子どももそうなるんじゃないか」と不安に思っている人もいるようです。子どものきれいな歯並びのために、親が普段から意識するとよいこととは。

大木さん「確かに遺伝的影響は考えられますが、それ以上に、先述のような習慣や習癖、食生活などには特に注意しなければいけません。そのため、お子さんの歯が生え始めた頃から、歯科医院でアドバイスを受けるのがよいでしょう。特に、乳歯と永久歯が混合して生えている時期(混合歯列期)はブラッシング指導などを受けて、虫歯や歯周疾患といった歯列不正を起こす要因を引き起こさないよう、十分な注意が必要です」