「年収」はあくまで額面であり、そこからさまざまな税金が引かれてから、実際の「手取り額」が決まります。年収も手取り額も人によって異なりますが、例えば、「年収500万円の会社員」が1カ月間、手取り額で生活していくための理想的な家計と貯蓄額とはどのようなものでしょうか。不動産・遺産相続コンサルティングなどを手掛ける企業「プロサーチ」(東京都千代田区)代表取締役でファイナンシャルプランナーの松尾企晴さんが解説します。

1カ月の手取り額は「32万4800円」

 今回のモデルケースは、「東京都内で1人暮らしをしている、年収500万円(賞与なしと仮定)、配偶者や扶養家族がいない30代会社員」です。このケースの人が、年間に支払う所得税や住民税、社会保険料の合計額は「110万2500円」となります。そして、これら税金などを年収から差し引いた「389万7500円(月32万4800円)」が手取り額です。

 年収500万円の会社員が、この手取り額で生活・貯蓄していくには、どのような家計のやりくりを行えばよいのでしょうか。今回は、年収500万円の人が手取り額で生活していくための理想的な家計と貯蓄額についてご紹介しましょう。

 さて、税金や社会保険料の他にも、生活していく上でかかるお金がありますよね。総務省統計局の家計調査(2021年の単身者データ)によると、全国の食費や住居費、電気ガス水道の料金、衣服、携帯代など、1カ月の平均支出が約15万5000円という数字が出ています。

 先述したように、「年収500万円の会社員」の1カ月の手取り額が32万4800円なので、この生活費を控除すると「16万9800円」となります。「え、16万9800円も給与から余る?」と首をかしげる人もいるのではないでしょうか。正直、私も計算していて、そんなはずはないだろうと思った一人です。

 ゲームなどの娯楽や衣服が好きならもっとかかりますし、住む場所によっては住居費も変わります。あくまで平均値なので、皆さんも通帳などの支出記録を見返して、自分の平均値を出してみましょう。

貯蓄は月にいくら回すのがよい?

 以前、「老後2000万円問題」が話題になりました。毎月の生活費を厚生年金で賄えている世帯もある一方、「年金だけでは賄えない」「老後のために2000万円も貯蓄するなんて無理」と考える世帯も多いと思います。

 例えば、現時点で「貯蓄ゼロ」の年収500万円、30代会社員(ここでは35歳と仮定)の場合、65歳まで30年間勤務したと仮定すると、月に約5万6000円を貯蓄に回す必要があります。これを、先述の手取り額にケースに照らし合わせると、次のようになります。

手取り額:32万4800円
▲生活費15万5000円(手取り額の48%)
▲貯蓄額5万6000円(手取り額の17%、手取り額から生活費控除後の33%)

 手取り額から▲の項目を引くと、「11万3800円(手取り額の35%)」が残ります。けがや入院といった突発的な支出を考えると、貯蓄額の他に、このくらい余裕があった方が安心かもしれません。

 手取り額は家族構成によって変わりますし、生活スタイルによって、家計や貯蓄すべき金額も変わります。普段は気にしなくても、年齢や家族構成、年収などが変わるときは一度、ご自身の家計を見直してみてはいかがでしょうか。