新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、妊婦の感染も増加しています。妊婦のコロナ感染については「早産率の上昇」などが確認されており、初産婦、経産婦ともに不安を感じている人も多いようです。

 妊婦が「コロナ陽性」となってしまった場合、どうすればよいのでしょうか。現在までに分かっている胎児・母体への影響や「重症化リスク」について、産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

赤ちゃんが感染していた例は2例

Q.コロナ再拡大中の現在、コロナに感染する妊婦は実際に増えてきているのでしょうか。

尾西さん「はい。やはり、コロナの全感染者に対して一定程度の妊婦さんが含まれているため、全感染者が増加するに伴って妊婦さんの感染も増加しています」

Q.妊婦がコロナに感染すると、胎児や母体にどのようなリスク、症状が考えられるのでしょうか。現状、分かっていることを教えてください。

尾西さん「第7波は現在進行中ですので、第6波までで分かっていることをお話しします。数字は8月3日時点です。

第5波までに比べて、第6波では一般の感染者と同様に『軽症者』が圧倒的に増え、感染によって母体や胎児が死亡(流産・死産など)するといったことは起こりませんでした。また、22週以降で出産した405人のうち、出産した赤ちゃんが感染していた例は2例で、いずれも軽症で問題なく退院したと報告されています。

ただ、一般的な風邪や胃腸炎などの感染症と同様に、子宮が収縮しやすくなるなどの切迫流早産は増加しています。これは、体内で病原体を退治するための物質が増加し、その物質が子宮収縮を誘発するためと考えられます。また、一定程度の週数が進んでいる場合は、早めに出産させることを選択する場合もあるためか、早産も増加しています。

なお、感染例は妊娠初期から後期まで報告されていますが、週数が進むほどその数は増加する傾向がみられます」

Q.もし、妊婦が「コロナ陽性」となってしまった場合、本人や家族はどうすればよいのでしょうか。

尾西さん「まず、これだけ感染が広がっている現在、『絶対かからない』というのは不可能に近いことなので、本人も周りの人も、感染したことを責めないようにしましょう。妊娠6カ月(21週)以降▽31歳以上▽妊娠前のBMIが25以上▽診断時のBMIが30以上▽ぜんそくなどの呼吸器系の基礎疾患がある―患者さんは重症化のリスクがあるため、パルスオキシメーターを使用して血中酸素を定期的に測るなど、症状観察をしっかり行いましょう。

妊婦さんが多く受診する産婦人科では、発熱外来を設けていないことも多く、『一般の発熱外来を受診するように』と指示を受けることも多いと思いますが、まずはかかりつけ医に電話して指示を受けましょう」

Q.妊婦の感染対策や、感染拡大中の時期の過ごし方について、産婦人科医の観点からアドバイスをお願いします。

尾西さん「実は、報告されている661人の妊婦感染のうち、中等症II(呼吸苦あり)や重症者の100%、また中等症I(呼吸苦なし)のうち95%はワクチンを打っていない人だったことが分かっており、やはりワクチンの効果は大きいと考えられるので、まずはしっかりワクチンを3回打つようにしましょう。また家族も、会社や外からウイルスを持ち込まないように、ワクチンをしっかり打つことが重要です。

『ずっと家にいることで息が詰まりそう』という人もいらっしゃれば、『テレワークになって自宅で仕事ができるため、楽になった』という患者さんもいます。受け止め方はそれぞれですが、後悔しない妊婦生活を送りましょう。

また、周りの人もお祝いしたい気持ちでいっぱいだと思いますが、“ベビーシャワー”などで集まることで感染する例もみられているので、妊婦さんが家で楽しめるものを送ったり、パーティーはオンラインを利用したりするといったことも検討してみましょう」