「子どもが、親が作ったご飯より、コンビニのおにぎりや弁当を喜んで食べる」。こう聞くと、親としては複雑な気持ちになるかもしれません。しかし実際、このような子どもは少なくないようで、「うちの子はコンビニのおにぎりが大好きで、いつも食べたがる」といった声の他、「どうしたら(手作りご飯を)食べてくれるのか…」「おいしくないのかな…と考え込んだ」と悩む親もいるようです。

 家族の食事を用意するとき、手作りの他に市販の総菜や弁当を利用する人は多く、妊娠・育児関連のアプリ開発などを手掛けるカラダノート(東京都港区)が2020年、「子どものご飯の主食やおかずにコンビニ食を利用した経験」について、親581人を対象に行った調査では、約70%(404人)が「利用した」と回答しました。ただ、「親が作ったご飯は食べない」「手作りのご飯より喜んで食べる」となると、複雑な気持ちになる親がいることにもうなずけます。

「手作りのご飯は食べてくれないのに、コンビニのご飯を喜んで食べる子ども」の背景や向き合い方について、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。

手作り料理は「日常」、コンビニご飯は「非日常」?

Q.子どものご飯にコンビニ食を利用した経験のある親は多いようです。

佐藤さん「共働き世帯が6割を超えている、今の時代に即した対応だと思います。家族全員の食事を毎回作るのは大変です。材料の買い出しから調理、そして、食後は洗い物…それらを含めた全てが“家庭の料理”なので、手作りの合間にコンビニ食や市販のお総菜が入るのは、むしろ自然な流れでしょう。

たとえ、おかずが1品減ってでも、親の時間の圧迫感が減るのなら、結果的にはよい育児につながると考えます。全く悩むことはないと思います」

Q.なぜ、親の作ったご飯より、コンビニご飯を喜んで食べる傾向が子どもに多くみられるのでしょうか。

佐藤さん「家庭の手作り料理とはまた違う“特別感”があるのだと思います。外食の特別感と似ているかもしれません。子どもたちにとって、家庭の手作り料理は『日常』、コンビニご飯は『非日常』という位置付けなのではないでしょうか。

また、コンビニで済ませることで親の気忙(ぜわ)しさが減ったり、気付かぬうちに会話や笑顔が増えたりしているのかもしれません。そうした微細な変化を子どもたちが敏感に感じ取り、『うれしいな』『楽しいな』というポジティブな感情に結び付いているとも考えられます」

Q.親の中には、「子どもがコンビニのご飯は喜んで食べるのに、手作りのご飯はあまり食べてくれない」ことに悩む人もいるようです。

佐藤さん「自分が作ったご飯より、コンビニのおにぎりを喜んで食べている様子を見ると、がっかりしてしまう人もいるかもしれませんが、コンビニご飯が好きなのは家庭の手作り料理という土台があるからこそで、家庭料理がお子さんの舌に浸透しきっている証しなのではないでしょうか。

当たり前すぎる存在に感謝が薄れてしまうことは、私たち大人でもよくあるものです。しかし、改めて振り返ると、『当たり前のもの』が実は一番大事だったと気付かされるものです。家庭料理はそういう存在のように思います」

Q.子どもの日々の食事について、親はどのようなスタンスでいるのがよいでしょうか。

佐藤さん「私たち大人も連日、外食続きになると、家庭のご飯が食べたくなるものです。今はコンビニご飯が非日常でも、そればかりだとやがて日常となり、飽きが来るでしょうから、『これまで、ちゃんとやり過ぎていたのかも』くらいに構えるといいかもしれません。

私は海外生活が長く、これまでさまざまな国に住んできましたが、日本ほどママたちがバラエティーに富んだ料理を作っている国はないと断言できます。子育て世代はどこの国でも忙しいのが常であり、他の国のママたちはそこまで手の込んだ料理を作っていません。もっともっと力を抜いて大丈夫です。

日本は母親信仰がまだまだ強いので、『少しでも楽できる部分は楽をしていい』という価値観が社会に浸透することを願うばかりです」