「糖尿病になると寿命が短くなる」という話を聞いたことはありませんか。具体的な数字として「寿命が10年縮む」といわれることもあるようですが、これは本当なのでしょうか。また、なぜ糖尿病は「寿命が短くなる」といわれているのでしょうか。

 実際のところについて、自身も1型糖尿病歴30年で、著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

「命に関わる病気」のリスクが高くなる

Q.ずばり、「糖尿病になると寿命が10年縮む」というのは事実でしょうか。

市原さん「事実です。これまでの調査で、糖尿病の患者さんは寿命が約10年短くなることが分かっています。糖尿病患者の死因のトップは『がん』で、その他にも感染症、心筋梗塞、脳梗塞などが上位です。これらは糖尿病によりリスクが高くなる病気であり、かかると命に関わる病気であるため、平均寿命が縮まったと考えられます」

Q.今後、糖尿病患者の寿命はどうなっていくのでしょうか。

市原さん「今後については、糖尿病患者の寿命は延びると考えられています。健診の普及を通した早期発見や早期治療、さらに、糖尿病の治療薬の進歩の影響が大きいと考えられます」

Q.糖尿病になった人が、少しでも寿命を伸ばすためにできること、した方がよいこととは。

市原さん「血糖値をなるべく正常に近づけることで、健康な人と変わらない寿命の確保が期待できます。そのためには、食事療法や運動療法などで基本的な生活習慣の改善を継続すること、そして薬の有無にかかわらず、血糖コントロールを良好に保つことが大切です」