ドラッグストアに並ぶ市販薬のパッケージには、「第一類」「第二類」「医薬部外品」といった表記があります。市販薬を買うとき、この分類を見て「どれがいいのか分からない…」「薬剤師さんがいないと買えないの?」など、疑問に思ったことはありませんか。効き目や副作用のリスクなどによって細かく分類されているのですが、実際に買うときは迷ってしまいがちです。

 そこで、市販薬の「第一類」「医薬部外品」といった分類の意味や、購入者が気を付けるべきポイントについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。

医薬部外品は「薬ではないもの」

Q.市販薬のパッケージに書かれていることが多い「第一類」や「医薬部外品」という表記には、どのような意味があるのですか。

真部さん「市販薬として販売される一般用医薬品の分類は、『第一類医薬品』『第二類医薬品』『第三類医薬品』に分けられます。これは薬の使用や保管方法の難しさ、薬の効果の強さ、副作用のリスクなどによって注意を要するレベル分けがなされている、と捉えていただくとよいと思います。

『第一類医薬品』が安全性上、最も注意を要するもので、市販薬ではありますが薬剤師からの服薬指導がなければ購入できません。ドラッグストアで『薬剤師不在のため購入できません』と書いてあって購入できない市販薬があると思うのですが、あれがまさに第一類医薬品ですね。

『第二類医薬品』は、服薬指導などは努力義務で、安全上の注意があるものの、薬剤師が不在でも購入できる風邪薬や鎮痛剤などが含まれます。『第三類医薬品』はビタミン剤や整腸剤など、効果が穏やかで比較的リスクが少ないものが分類されていますね。

ちなみに、少し紛らわしいのですが『医薬部外品』は『薬ではないもの』という意味です。薬用化粧品や口中清涼剤といった、健康維持や病気の治療を目的とするものではない商品に記載されています」

Q.種類ごとの効き目の違いや、注意点とは。

真部さん「やはり、薬としての効果が最も高いのは『第一類医薬品』です。次いで『第二類医薬品』、『第三類医薬品』と続きます。

第一類医薬品の中には、医師からでなければ処方されない薬と同程度の有効成分が含有されている商品もありますが、効果が強いということは、それだけ副作用の危険性も考慮しなければいけないということです。『効果が強い=魅力的』に思えるかもしれませんが、自分の体質や現在の症状などと照らし合わせながら選んでいただきたいですね」

Q.「第一類」から「第二類」の薬に変更する、というようなことは避けた方がよいのでしょうか。

真部さん「市販薬は商品によって、同じ効果があるように見えても有効成分や飲み方が全く異なるものもあるため、自己判断で変更するのはあまりおすすめできません。

もしも、薬をきちんと服用しているのに効果が感じられない場合、何か別の原因が潜んでいるのかもしれません。医療機関の受診を検討した方がよいケースもあるため、もし『なかなか効かない』と感じたら薬剤師にすぐ相談してみてください。『薬を飲んでいるから大丈夫』と後回しにしてしまうと、早期発見ができなかったために健康被害が拡大してしまう恐れがあります」

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 市販薬はドラッグストアや薬局で手軽に購入できるものですが、効果の強さやリスクなどはそれぞれの商品によって大きく異なります。間違った方法で服用したり、合わないと感じているまま無理に服用を続けたりしていると、効果が感じられないばかりか、体調が余計に悪化してしまう恐れもあります。正しく効果を感じられるようにするために、薬の服用に不安な点があったら、薬剤師やかかりつけの医師にきちんと相談するようにしましょう。