学校の給食当番で起きた出来事について描いた漫画「給食当番」が、Instagramで300以上のいいねを集めて話題となっています。

 生まれつき右手の指が欠損している娘。手の形が違うと、じっと見られて嫌だったり、傷ついたりすることがあるようです。ある日、娘が学校の給食当番をしていると、クラスメートが指をじっと見ていることに気付きました。「何か言われるのかな」と思っていると…。読者からは、「見るべきところを見てくれていて、よかったですね」「すてきなお友達」「私なら手伝ってしまいそう」などの声が上がっています。

クラスメートの対応に喜ぶ娘

 この漫画を投稿したのは、NPO法人Hand&Footの代表理事を務める、はんどあんどふっとさんです。春日たろうさんの作画で、娘の「りっちゃん」についての漫画をInstagramで発表しています。はんどあんどふっとさんに、作品についてのお話を聞きました。

Q.今回の漫画を描いたきっかけを教えてください。

はんどあんどふっとさん「作品を通じて、裂手(れっしゅ)症のお子さんを持つ人や、そのご家族の不安を少しでも払拭できたらなと思ったからです。また、裂手症について、少しでもたくさんの人に知っていただきたかったからという理由もあります。

現在、小学校6年生の娘は、『裂手症』と呼ばれる手の形で生まれてきました。この手の形は、約2万人に1人の割合で生まれるといわれています。娘の右手の指は2本欠損していて、関節も1つありません。手の違いを持つ子は、『何度も手のことを聞かれる』『じろじろ見られる』という周囲の人からの反応や、『かわいそう』『大変そう』などと決めつけられてしまうことで悩みがちです。

そんな中、クラスメートの男の子が、まったく想像もしていなかった褒め方をしてくれたと、娘がとてもうれしそうに教えてくれました」

Q.男の子が褒めてくれたことを、娘さんはどのように受け取っていたのでしょうか。

はんどあんどふっとさん「娘は右手の指が3本で、おわんの持ち方が他の子と違うので、給食当番のときはいつも友達に何か言われないか心配しているそうです。

この日も、男の子にじっと見られていることに気付いてドキっとしたのですが、『まさか褒められるなんて!』と予想外の展開に驚き、帰宅後は『すごくうれしかった!』と報告してくれました。その場では照れくさくて、笑って流してしまったそうですが」

Q.うれしそうな娘さんを見て、母としてどのような気持ちになりましたか。

はんどあんどふっとさん「娘は生まれつき指が欠損していても、普段は何不自由なく過ごせています。でも、見た目がみんなと違うことで、手のことが嫌になったり、自信をなくしたりする日もあるようです。

そんなときは『そのままでいいんだよ』『みんな違うのが当たり前なんだから』などと娘に伝えているのですが、最近は思春期に入りかかっていることもあり、なかなか親の言葉も届きにくくなってきていて…。だからこそ、お友達や先生など、『家族以外から掛けられる言葉』が、本人にとってとても大切な時期だと思うんです。

そのため、今回のように娘を気にかけ、褒めてくれたクラスメートの男の子には『娘を褒めてくれてありがとう!』『自信をくれて、ありがとう!』と感謝の気持ちでいっぱいでしたね」

Q.作品について、どのような意見が寄せられていますか。

はんどあんどふっとさん「手の違いについて知ろうとしてくださっている人からのうれしいコメントや、褒めてくれた男の子に対しての賞賛コメントなどを頂きました」