6月18日は「おにぎりの日」。1987年、石川県旧鹿西町(現中能登町)で、世界最古の“おにぎりの化石”とされる、蒸したもち米を固めて焼かれたおにぎり状の「チマキ炭化米塊」が出土したことを記念して制定された記念日です。

 ところで、あなたは「おにぎり」と聞いて、どんな“形”を思い浮かべますか? コンビニなどでよく見る商品は「三角形」のものが主流ですが、家庭で手作りするものの場合、地域によっては三角形以外の形になじみがあるという人もいるのではないでしょうか。

 ネット上では「関西の実家では、家で食べるおにぎりはいつも俵形だった」「おばあちゃんのおにぎりは丸い形してたな〜」といった声もあり、イメージするおにぎりの形が地域によって異なることがうかがえます。

 実際のところ、地域によっておにぎりの形はどう違うのでしょうか。おにぎりの形と地域性の結び付きについて、一般社団法人おにぎり協会代表理事の中村祐介さんが解説します。

「円盤形」の地域も

 おにぎりは、日本の稲作文化とともに生まれてきました。

 実際、弥生時代中期のものと思われる、もち米を蒸して固めて焼いたおにぎり状の「チマキ炭化米塊」が発見されています。平安時代には、蒸したもち米を握り固めた「屯食(とんじき)」と呼ばれるものが従者にふるまわれたり、防人(さきもり)や兵士が携帯したりしていたようです。持ち歩けていつでも食べられる利便性が、おにぎりが愛された理由だと考えられます。

 そんなおにぎりの“形”に、地域による違いを感じたことがある人は少なくないと思います。結論から言うと、おにぎりの形状には地域差があります。

 現在は全国的に「三角形」が多いですが、三角形のおにぎりは、もともとは関東で多かったようです。関西は「俵形」、関東・東北の農業地域は三角形よりも「丸形」や「円盤形」が多くみられます。

 江戸時代、“天下の台所”と呼ばれた大阪では、町人文化が栄えて観劇の習慣も多くあり、劇を見ながら幕の内弁当を食べていました。このお弁当に入っていたのが、一口サイズの俵形おにぎりです。俵形は、三角形のおにぎりよりも弁当箱に収まりやすい形状でした。そこから、見慣れた俵形のご飯がおにぎりとしても登場してきたようです。

 一方の関東は、握りやすい「三角形」が多かったです。「富士山を模している」ともいわれますが、三角形は持ち歩いたとき、丸形や円盤形よりは崩れにくく、旅のお供や持ち歩きの便利さもあるように思われます。

 丸形や円盤形は、関東や東北地方の農家が多い地域にみられます。これは、農作業の後で家に集まり、みんなで食べることなどから、持ち歩きを考えずに済んでいたからではないでしょうか。

 円盤形は、寒い地方では冷たくなったらいろりで火をあてると火が通りやすいこと、また、北関東では生みそを塗って食べる習慣があるため、外側に塗りやすい形状である点が好まれたようです。各地域に住む人たちのライフスタイルによって、おにぎりも形を変えてきたのです。

 ちなみに昨今、コンビニのおにぎりといえば、多くの人が「三角形」をイメージすると思いますが、なぜ「三角形」が定番の形となったのかご存知ですか。

 1978年、セブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)が三角形のおにぎりを売り出しました。ここから、おにぎりが「家で作って食べるのが当たり前」だったものから、徐々に「買って食べるもの」へと変化してきました。コンビニが全国に普及するにつれて、三角形が関西などにも広く浸透したのではないかと考えられています。

「のり」にも違いあり?

 ところで、おにぎりといえば「のり」を巻いて食べることも多いもの。実は、のりも地域によって違いがみられます。

 関東では、おにぎりに「焼きのり」を使います。一方、関西では「味のり」を使うことも多いですね。コンビニでも、関西地方では味のりを使ったおにぎりを一部提供しています。

 他の地域での巻き方は、おにぎりの形によってさまざまですが、例えば、富山県のように、のりの代わりにとろろ昆布を使うところもあります。

 おにぎりには、地域によってさまざまな違いがあります。47都道府県全てで食べ方が微妙に異なっており、同じものは一つとないといっても過言ではありません。地域の特徴がそのまま反映されているのがおにぎりなので、食文化を知る目線で楽しむのも面白いのではないでしょうか。