キッチンの流し台の隅に、調理で発生した生ごみなどを捨てる「三角コーナー」を設置している家庭も多いと思います。三角コーナーがあれば、食材を切ったときなどに発生した生ごみをすぐに捨てることができて便利ですが、最近では「三角コーナーなんて必要ない!」という声も増えています。料理をすることが多い人にとって、本当に三角コーナーは必要ないのでしょうか。ハウスクリーニングアドバイザーの有賀照枝さんに聞きました。

環境問題への配慮も

Q.三角コーナーを設置するメリット、デメリットを教えてください。

有賀さん「三角コーナーを使うメリットの一つは、調理中に出た生ごみを一時的にまとめておくことができる点です。調理のたびに、ごみ箱をそばに持ってきて捨てる手間が省け、家事が非常に効率的になります。また、ごみの投入口が広いので、生ごみを容易に入れられます。

水切りネットを併用して使えば、食べ物のかすや汁物の中の固形物も直接、排水口に流れることがないため、掃除も楽になります。そして、何よりも、生ごみの水切りと減量に一役買ってくれるので、環境にも優しいという点が挙げられます。

逆に、デメリットはシンク内のスペースを三角コーナーに取られてしまうので、賃貸住宅のワンルームの部屋など、シンクが狭い場合は特に、窮屈に感じる可能性があることです。洗いおけを使っている場合は、さらに狭さを感じるかもしれません。

その他にも、投入口が広いため、生ごみが入ったままだと見た目も気になり、小まめな掃除が必要です。生ごみを長時間置きっ放しにしていると臭いはもちろん、コバエなどの害虫の発生源になったり、三角コーナーにぬめりやカビが生じたりして、掃除に手間がかかることになります」

Q.最近は「三角コーナーなんて必要ない!」という声も聞きます。料理をすることが多い人にとって、本当に三角コーナーは必要ないのでしょうか。

有賀さん「料理をすることが多くても少なくても、三角コーナー、あるいはその役割を果たすものを使った方がよいと思います。三角コーナーの役割は主に、排水と一緒に流れてしまう細かなごみの量を減らすこと、生ごみの水分を切ることです。

私たちが使った生活排水は下水処理施設できれいにされますが、その処理能力にも限界があるので、細かい生ごみをそのままたくさん流してしまうと、水質汚染につながってしまいます。また、生ごみの水分量が多いと、ごみの焼却のときに燃やす時間が長くなり、二酸化炭素の排出量が増えてしまうことにもなります。

もし、このような三角コーナーの役割を代用できるものがあれば、三角コーナーを設置しなくても問題はないでしょう。しかし、できないのであれば、三角コーナーは使った方がよいと思います。何もなしで排水口に流してしまうのは、やってはいけないことです。

実際、さまざまな三角コーナーの代用品が販売されていますし、これら代用品を使うことで、シンクをより広く効率的に使うこともできます。私自身も代用品を利用していて、三角コーナーは使っていません」

Q.どのようなものが代用品になるのでしょうか。

有賀さん「小さめのビニール袋が使えます。注意が必要なのは、タマネギの皮などの乾いた野菜くずはぬらさないようにし、ぬれている場合は、よく水分を切ってから捨てることです。スーパーで売られている野菜は、表面の泥があらかじめ洗われきれいなものが多いので、もし洗うのであれば、皮をむいてから洗いましょう。料理が終わったら、その都度、袋を閉じてごみ箱へ移せるので、臭いの漏れやコバエが気にならなくなります。

また、水切りができる使い捨てタイプのビニール袋もあります。そのほか、水分が多い生ごみについては、新聞紙や古布を吸収材として使う方法があり、排水口のごみ受けに目の細かい水切りネットを掛けることでも、三角コーナーの代用になります」

Q.三角コーナーを代用する手段は幾つもあるようですが、では、そもそもなぜ、三角コーナーが誕生したのでしょうか。

有賀さん「私の個人的推測になってしまうのですが、三角コーナーが誕生したのは、生活様式の変化と関係があるのではないかと思います。戦後、高度経済成長期になると、家電製品の普及で生活様式が変化し、暮らしが便利で豊かになります。三角コーナーも、台所仕事を楽にする便利グッズの一つとして、この頃に生まれたのかもしれません。

高度経済成長期は、生活排水による水質汚染が社会問題化した時期でもあります。そうした背景から、台所から出る生活排水をきれいにするために、三角コーナーがより注目され、広く利用されるようになったのではないかと推測します」

Q.では、三角コーナーを使用すべきかどうか迷った場合、どのように決めたらよいのでしょうか。

有賀さん「先述したデメリットが気にならない人は、三角コーナーを設置してもよいと思います。一方、デメリットが気になる人や、生ごみを粉砕する機能がある『ディスポーザー』がシンクの下に備え付けてある家に住んでいる人は、設置しなくてもよいでしょう。とはいえ、ディスポーザーの機種によっては硬いごみを粉砕できない場合もあるので、必要に応じて、三角コーナーやそれに代わるものを上手に活用してもよいと思います。

要するに、生ごみなどの水気をしっかり切れて、排水口に細かいごみを流さないようにできればよく、状況に応じて使い分けることをおすすめします。三角コーナーか、排水口のごみ受けのいずれか、または両方に水切りネットを掛けて使った方がより効果的でしょう。一人一人ができることはとても小さいものですが、三角コーナーから環境問題に向き合って、無理のない範囲で実践できるとよいですね」