東京五輪のボランティアに配布されているユニホームなどの備品類がインターネットのフリーマーケット(フリマ)サイトに出品され、話題となりました。既に取引が成立した旨の表示があったユニホームもあり、第三者に売却されている可能性もあります。

 東京五輪ボランティアのユニホームなどの転売は禁止されているとのことですが、五輪以外も含め、スポーツ大会やイベントのボランティアスタッフに配布されたユニホームを転売することは、どのような法的問題があるのでしょうか。また、もし、転売したユニホームがイベントを妨害する行為などに悪用された場合、転売者も法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。白石綜合法律事務所の宮崎大輔弁護士に聞きました。

一般には「貸与」、所有権は主催者

Q.東京五輪に限らず、何らかのボランティア活動への参加を条件に配布されたユニホームの所有権は誰に属するのでしょうか。

宮崎さん「一般的には『貸与』という形になりますので、ユニホームの所有権はボランティア活動の主催者側にあると思います。ただし、活動終了後に主催者側がユニホームの返還請求権を放棄することを明示していれば、ユニホームの所有権は主催者側からボランティアに移転します。つまり、ユニホームが活動の記念としてもらえる形です」

Q.ユニホーム支給後、ボランティア活動開始前に参加を取りやめた場合、ユニホームは返却する法的義務があるのでしょうか。

宮崎さん「貸与であれば当然、返却する義務があります。活動開始前なので、先述したような『活動終了後の返還請求権放棄』が仮に定められていても、その条件は適用されず、所有権は主催者側にあるままだからです」

Q.ユニホームを転売することは違法行為となるのでしょうか。それは、活動しなかった場合と活動を終えた後に転売する場合とでは違うのでしょうか。

宮崎さん「貸与を受けたユニホームを貸主の許可なく転売すれば、『無断売却』となり、違法行為になります。貸与を受けたものであれば、活動しなかった場合であれ、活動を終えた場合であれ、基本的に違法行為となることに違いはありません。

ただし、先ほど述べたように、活動後に主催者側がユニホームの返還請求権を放棄することを明示していれば、ユニホームの所有権は主催者側からボランティアに移転しますので、それを転売しても違法行為とはならないと思います。もっとも、規約等で転売を禁じている場合は別です」

Q.無償譲渡、つまり、誰かにあげるという行為はどうでしょうか。

宮崎さん「貸与を受けたユニホームであれば、無償であっても第三者に贈与すれば違法行為になります。ただし、活動終了後の返還請求権放棄が明示されており、かつ、規約で贈与が禁じられていない場合は、活動終了後の贈与は特に問題とならないでしょう」

Q.転売は具体的に、どのような罪になる可能性がありますか。

宮崎さん「貸与を受けたユニホームを転売すれば、刑事上は『横領罪』が成立します(刑法252条、5年以下の懲役)。民事上は、ユニホームの返還義務、および損害賠償義務が生じる場合があります」

Q.転売されたユニホームを着て、ボランティアスタッフになりすました第三者がイベントを妨害するなど、悪用された場合、転売した人の法的責任は重くなるのでしょうか。

宮崎さん「先ほど述べた、刑事上の横領罪、民事上の返還義務と損害賠償義務といった法的責任はユニホームが悪用された場合でも、されなかった場合でも、いずれの場合も問われます。さらに、明らかに悪用されることを知っていたという証拠などがあれば、刑事罰の量刑や民事上の損害賠償額が上がる可能性があります。

また、例えば、マラソンコースの沿道で、転売ユニホームを着てボランティアに成りすました人が競技の妨害をしたケースを考えてみます。転売者が妨害者の意図(競技妨害の意図)を知って転売していた場合は、威力業務妨害罪(刑法234条)のほう助犯(刑法62条1項)として罪に問われる可能性もあります」

Q.悪用されたユニホームが無償譲渡したものだった場合と転売した場合とでは、責任の有無や度合いに違いがあるのでしょうか。

宮崎さん「無償であっても結果的にユニホームを返還できなければ、法的責任を問われます。ただし、先ほどと同様に、刑事罰の量刑や民事上の責任の部分で考慮される可能性はあります」