「最近、街中で唐揚げ店が増えた」と感じる人も多いのではないでしょうか。地域によっては、駅周辺で複数の唐揚げ店が営業をしているケースもあります。また、夕方になると、多くの客で混雑している店もあり、唐揚げが夕食のおかずとして人気なのが感じ取れます。

 ところで一時期、タピオカ店の出店が相次ぎ、話題となりましたが、ブームが下火となって以降、多くの店が閉店しました。唐揚げ店がタピオカ店の二の舞になる恐れはないのでしょうか。また、なぜ、唐揚げ店が増え続けているのでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

少ない初期費用と高収益性

Q.なぜ、街中で唐揚げ店が増えているのでしょうか。

成田さん「数年前、タピオカ店の出店が相次ぎましたが、その後、タピオカブームが下火になり、多くの店が閉店しました。この閉店したタピオカ店を唐揚げ店に業態変更する店が現れたのが、唐揚げ店急増の始まりと言われています。昨今のコロナ禍によるテークアウトやデリバリーの需要拡大も、これらのサービスを頻繁に利用する年代層から支持される唐揚げ店には追い風になったでしょう」

Q.タピオカ店の跡地を利用するとはいえ、唐揚げ店は簡単に始められるものなのでしょうか。また、出店数が増えているということは、収益性が高いビジネスなのでしょうか。

成田さん「唐揚げ店は比較的簡単に始められます。例えば、一般的な小規模飲食店の場合、調理設備などで700万円から1000万円の初期投資が必要ですが、唐揚げ店は基本的に、タピオカ店と同じくらいの広さである3〜5坪(およそ10〜16.5平方メートル)程度のスペースに、フライヤー(揚げ物を作るための調理器具)と冷蔵庫があれば十分なので、50万円から100万円ほどで出店できます。

店舗の収益性も高く、特に、唐揚げによく使われる輸入のブロイラー(生育過程を短くした鶏肉)の仕入れコストは非常に安価なので原価率も抑えられます。また、フライヤーの自動温度調整機能を使えば、誰でも簡単においしい唐揚げを作ることができるので、調理の難易度もそれほど高くありません」

Q.もともと、スーパーやコンビニが唐揚げの販売に力を入れていた印象があります。街中で唐揚げ店が増加したことで、スーパーやコンビニへの影響は。

成田さん「スーパーやコンビニは影響を受けていると思います。唐揚げはおかずだけでなく、酒のおつまみやおやつ、チキン南蛮など別の料理へのアレンジでの利用など幅広い目的で購入されており、主婦がスーパーやコンビニでの買い物の際、容易に購入できる総菜でした。

一方、唐揚げ店は独自の味付けやトッピングなど専門店独自の強みがあり、また、一般社団法人日本唐揚協会による『からあげグランプリ』の宣伝効果などで顧客を増やしてきました。唐揚げ店の店舗数は数年前の3倍に増えているので、スーパーやコンビニへの影響は必至です。ただし、最近では、スーパーやコンビニも専門店に負けないように、専門性を高めた唐揚げを開発しています」

Q.街中で唐揚げ店が増えれば増えるほど、店舗間での競争が激化すると思います。店舗の特色が分かりにくくなるのではないでしょうか。

成田さん「確かに、唐揚げ店が増え過ぎて店舗の特色が分かりにくくなっています。他店との差異化は『流行する店』の重要な要因です。新興の唐揚げ店が生き残るためには、メニュー開発や販売促進などの入念な準備が必要です。失敗を避けるために、出店前に飲食店の専門家に相談するのもよいでしょう」

Q.今後も唐揚げ店が増え続けた場合、タピオカ店のように大量閉店する恐れはないのでしょうか。

成田さん「唐揚げ店は現在も出店数が増えており、間もなく飽和状態になるでしょう。しかし、唐揚げはタピオカと違って、国民食ともいわれるくらい日本の食文化に溶け込んでいます。多少、店舗数が減ったとしても、タピオカ店のように大量閉店に陥ることはないと私は考えます」

Q.唐揚げ店の出店はしばらく続くのでしょうか。

成田さん「大手外食企業がここ1〜2年のうちに、唐揚げ専門の飲食店を数百店オープンすると聞いています。先述のように、コロナ禍による飲食物のテークアウトやデリバリーの需要も伸びています。テークアウトやデリバリーに対応しやすく、また、収益性も高く、比較的安心安全な経営も望める唐揚げ店の出店はしばらく続きそうです」