新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大している影響で、感染対策として、子どもが学校を自主的に休む「自主休校」が増えています。自主休校を選択する家庭の事情は「本人、または家族の基礎疾患により、重症化リスクが高い」「受験を控えている」などさまざまです。10代以下の新規感染者数が増加している背景もあり、自主休校を欠席扱いにしない学校もあります。

 感染リスクを減らせる自主休校ですが、そのほかにメリットはあるのでしょうか。また、どのようなデメリットがあるのでしょうか。体験談を紹介します。

4度目の自主休校、ペースつかむ

 千葉県在住のAさん(45歳、女性)には、小学6年の息子がいます。今年の夏までに3度、自主休校をさせました。期間は1週間〜1カ月。 息子が感染しないか、Aさんが不安に思ったためです。9月に新学期が始まってからはまだ登校させておらず、これが4度目の自主休校となります。

「夫と私は事務職で、多くの人と顔を合わせる機会はありません。小学校に通う息子が家族の中で最も多く、人と顔を合わせる機会があるので、毎日発表される新規感染者数が多く、不安に思う気持ちが高まったときに自主休校させています。『学校でやることを代わりに家でやる』との考えで、時間割を決めて勉強させ、時には私たちが仕事を休んで授業をすることにしました。

1度目の自主休校を始めた頃は初めての経験で、息子も私たち夫婦も生活のペースがつかめず、戸惑いました。主に私が仕事を休んで、息子の対応に当たったのですが、時間割通りに勉強してくれないことなどから、息子につらく当たってしまったこともありました」(Aさん)

 自主休校によって、慣れない生活を送ってきたAさんでしたが、学校のチャイムのように毎日、同じ時間にアラームが鳴るようスマホを設定することで、息子は学習リズムを取り戻し、かなり時間割に沿った過ごし方ができるようになったそうです。

「家では、息子がしっかり理解ができるまで丁寧に教えることができました。家庭教師のような感じです。学校のような集団学習だと、どうしても、子どもが理解度に差が出てしまうと思います。最初は戸惑いもありましたが、息子の勉強の進み具合や学力を、つぶさに把握できたことは自主休校で得られたメリットです」

「会話や友達づくり禁止」なら自宅でも…

 東京都在住のBさん(35歳、女性)の娘は小学1年生ですが、今年4月の入学以来、まだ一度も登校したことがありません。

「オンライン授業も受けられる学校なので、学習環境で心配はしていません。ただ、学校は集団生活や同年代の友達とのコミュニケーションを学ぶ場でもあるので、自主休校に不安はあります。コロナ禍が収束して登校するとき、娘がクラスにうまくなじめるか心配です」(Bさん)

 Bさんは学校の方針への疑問もあるそうです。

「娘のクラスでは感染防止策として、会話や友達づくりが禁止されています。ある時、学校側から保護者宛てに配られたプリントの中に『感染予防のため、児童の会話を禁止します』とあったのですが、詳しい説明は書かれていませんでした。『本当に会話を禁止しているのだろうか』と半信半疑だったところ、娘と同じクラスのママ友から、『(実際に)会話禁止が徹底されている』と聞き、『本当だったんだ』と驚きました。

コロナ対策だから仕方ないのでしょうが、いくらなんでもやり過ぎなのでは、と思います。会話が禁止されているなら、『オンライン授業さえ受けていれば、登校するのもしないのも大差ない』と思うのです」

 学校の感染対策は文部科学省がガイドラインを発表していますが、細かな部分はそれぞれの学校に委ねられており、対策の実情は学校ごとに異なります。Bさんの娘が通う学校は都心にあるため、かなり厳しくしているのかもしれません。

 そんなBさんが感じた自主休校のメリットとは。

「ネットで『自粛で子どもと過ごす時間が増えたら、お手伝いをさせるといい』という情報を知り、将棋界で注目の藤井聡太さんも子どもの頃に受けた、自主性を身に付けさせる教育プログラムの『モンテッソーリ教育』を聞きかじった程度でしたが、取り入れました。

結果、娘は以前より家事に関心を持ち、自主的に手伝ってくれることが増え、自分のことは自分でやるようになりました。『こちらがしっかり言えば、意外とやってくれるものなんだな』という気付きも私にとっては新鮮でした」

 子どもが自宅で過ごす時間がどのようなものになるかは、保護者次第です。このケースでは、その時間を少しでも有意義なものにしようとするBさんの試みが功を奏したようです。

自己管理能力、身に付いた

 東京都在住のCさん(45歳、男性)の息子は中学2年生で、本人が「感染が怖いから学校を休みたい」と言ったため、昨年12月から3カ月間、自主休校をしました。加えて、今年の2学期から再度、自主休校をしています。

「自主休校のデメリットは親の負担が増えることです。妻が専業主婦で、息子と昼間は一緒に家にいますが、ずっと2人で過ごしているからか、ストレスがたまるようで、激しくけんかをするようになりました。私も妻に任せきりにするわけにはいかないので、2人のために仕事を休まざるを得ないことがあります。家事をすることも増えましたが、妻の大変さを知ることができたので、その点はよかったのですが」(Cさん)

 一方で、Cさんの息子に好ましい変化が見られるようになったそうです。

「自主休校を通して、息子に自己管理能力が備わったと感じます。それまでは勉強はおろか、風呂やご飯も、こちらがしつこく促してもなかなか腰を上げなかったのですが。自主休校で『自分でなんとかしなければ』という意識が出てきたのだと思います。

今はクラスメートが登校している時間に運動と勉強をして、下校時間が過ぎてから、友達とオンラインでゲームをするなどして過ごしています。息子の生活に目に見えてメリハリがつきました」

 今回紹介した3人のエピソードから見ると、自主休校にはメリットもデメリットもありますが、本人や保護者の工夫と心構えで、メリットの部分を伸ばせそうな可能性が感じられました。