厚生労働省の人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」(2016年度)によると、再婚率は近年、上昇傾向にあるようです。2005年には25%を超え、2015年は26.8%となっています。つまり、4人に1人は「離婚後に再婚」しているのです。その中には、元夫や元妻と再婚しているカップルもいます。

「一度は離婚を選んだ相手と再婚する」ことに驚きを持たれるかもしれませんが、実は案外、離婚後に復縁を果たす元夫婦というのは多いものです。「愛を再確認した」「やはり、運命の相手だった」と気付かせる再婚スタイル。勢いで離婚したものの、夫婦という関係で、お互いのことをよく分かり合っている2人が年月を経て、再び、夫婦になることには何の違和感も覚えません。子どもがいればなおさらでしょう。

 では一体、どんな元夫婦が復縁を果たすのでしょうか。理由とともに実例を見ていきましょう。

看病機に、60歳にして再ゴールイン

 ひかるさん(39歳、仮名)の両親は彼女が小学生の頃に離婚しました。理由は父親の浮気癖です。

 部品メーカーの経営者だった父親は飲み屋街での浮気を繰り返し、その度に、母親とけんかをしていたといいます。やがて、母親がひかるさんと妹さんを連れて、家を出ました。その後、母親が父親と会うことはありませんでしたが、ひかるさん姉妹は父親の元を頻繁に訪れていました。養育費もしっかりともらっていて、生活に不自由はしませんでした。

 ひかるさんが大学卒業後に起業して、バリバリ働いていた頃、父親が倒れました。それを機に父親の会社をどうするかという話になり、ひかるさんが継ぐことに。2社を経営することになったのです。父親は退院後も体が不自由で、1人で暮らすのが困難でした。ひかるさんと妹さんは2人とも子どもがいるので、面倒を見られるか自信がなかったそうです。そんな中、何と母親が「自分が面倒を見る」と名乗り出たというのです。

「母は離婚してから、一度も会っていないお父さんのことをずっと恨んでいると思っていた」というひかるさん。「正直、びっくりです。自分にとって、大切な両親が支え合う姿を見ることができるのはとてもうれしいことです」。

 ひかるさんの母親は、およそ30年ぶりに父親と再会。その場にひかるさんも同席しましたが、2人ともとても自然に「どう?」などと言葉を交わし、離れて暮らしていた年月を全く感じさせませんでした。その後、母親の看病のかいもあってか、父親は順調に回復。そして、父親が60歳、母親が56歳のときに2人から、「再婚する」と聞かされます。ひかるさんは泣いて喜び、最初の結婚当時、挙式をしていなかった両親に結婚式をプレゼントしたそうです。

2人の時間を持てたことで復縁 

 子どもが生まれて、関係が変化する夫婦は多いものです。特に夫が精神的に未熟で妻に依存している場合、子どもが生まれて「母」になる妻の姿に耐えられず、他の女性に癒やしを求めるケースは後を絶ちません。それがきっかけで離婚する夫婦は本当に多いのです。美里さん(46歳、仮名)もそんな理由で、小学生と保育園の子ども2人を連れて離婚しました。

 美里さんは一生懸命働き、子どもを育てました。その間、子どもの行事には必ず、元夫を呼び、一緒に運動会を見たり、子どもの誕生日を祝ったりしていました。「子どもたちのために元夫との関係を悪くしたくない」と思っていたといいます。

 2人のお子さんが社会人と大学生になった頃、元夫が「2人で飲みに行かないか」と美里さんを誘いました。そこから、2人は頻繁に出掛けるようになります。もともと、映画とお酒が好きで趣味が一緒だった2人はどんどん、コミュニケーションが増え、とうとう2人で旅行しようということに。

 うきうきしながら、新しい下着を買う自分に驚いたという美里さん。初めて2人で旅行したときのように、ものすごくドキドキしたそうです。2人は旅行先で再び、男女の関係になりました。再婚はせず、別々に暮らしていますが、それがちょうどいいと美里さんは言います。「もっと年を取って、お互いに弱ってきたら再婚するかもしれないけど、今はこのままが快適です」。

 美里さんと元夫は子どもが手を離れたことで、元に近い関係に戻ることができました。子どもたちは驚きもせず、普通に接してくれているそうです。

時間が感情を和らげる 

 人間関係は絶え間なく変化します。血のつながった親族はたとえ、大げんかしても「死ぬまで親族」なので、冠婚葬祭の案内が届くことも少なくありません。結婚式で渋々会うことになる、遺産相続会議でまた、けんかするなどの顔合わせがあり得ます。

 一方、夫婦は血縁がない2人なので、離婚すると、相手の両親が亡くなっても、お葬式に参列せずともよしでしょう。夫婦は籍を抜くと、親戚とは違って、「赤の他人」の立ち位置になるので、やり直しもゼロからできます。そのため、復縁がスッキリ進む可能性があるのです。

 男と女の関係は次第にマンネリになるといわれますが、相手への感情は変化し続けていると思います。「今日の夫は穏やかで好き」「今夜の妻はカリカリして、突っかかってくるから話したくない」「子どもができてから、夫が頼りがいのある人だと気付いた」など変化しっ放しです。つらい出来事があって離婚したとしても、長い時間が怒りを和らげ、スタート地点の感情に戻してくれることもあります。

 タイミングが再び合ったとき、2人が再婚や復縁という選択をするのはとても自然です。流れに逆らわず、受け入れる。それがしなやかに幸せな人生を歩むコツではないでしょうか。まさに「レジリエント(柔軟)な男女関係」です。離婚した相手との復縁を周りに冷やかされたら、「私たちはレジリエントな大人の関係なの」と堂々とかわしましょう。