秋が深まるにつれて、冷え込む日も増え、街なかで「くしゃみ」をする人をよく見掛けるようになりました。特に中年男性の中には、大きな音でくしゃみをする人がいて、周囲にいると驚くこともあります。ネット上にも「おじさんのくしゃみ、爆音で嫌だ」「毎回びっくりする」といった声があります。なぜ、中年男性のくしゃみは大きいのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

抑え込む力が衰える?

Q.くしゃみは、あらゆる世代の人がする生理現象です。どのような仕組みで出るのですか。

市原さん「くしゃみは、ほこりや花粉が肺の中に入らないようにするための防御反応です。異物が鼻から侵入して、粘膜に付着したとき、その刺激が横隔膜など呼吸に関係する筋肉に伝わり、くしゃみが出ます」

Q.中年男性のくしゃみは、若い人よりうるさいのでしょうか。

市原さん「中年男性がするくしゃみは、若い人よりもうるさいことが多いのではないでしょうか。くしゃみは呼吸に関する筋肉が収縮することで起こります。成人男性であれば、体格や筋肉量から考えても、くしゃみは大きくなるはずです。しかし、くしゃみは自分である程度加減ができるので、人によって大きさが変わり得ます。若い男性よりも中年男性が周囲を気にせずくしゃみをすることも、うるさくなることと関係している可能性があります」

Q.加齢による筋肉の衰えや、抑制する力の衰えなどは関係していないのでしょうか。

市原さん「筋肉が衰えているのならば、逆に音は小さくなりますが、呼吸筋まで顕著に衰えることは考えにくいです。一方で、くしゃみが出ないように抑え込む力や気力は衰えるかもしれません」

Q.同じ中年でも、女性のくしゃみがうるさいとはあまり言われないように思います。くしゃみの音に男女差があるとすれば、それはなぜでしょうか。

市原さん「くしゃみの音の大きさに男女差はあります。先ほど述べたように、くしゃみは呼吸に関する筋肉が収縮することで起こります。成人の場合、一般的に女性の方が男性より筋肉量が少ないため、くしゃみの音が比較的小さい傾向にあると考えられます」

Q.音が大きいことを気にして、くしゃみを我慢しようとする中年男性もいるそうです。くしゃみを我慢すると、体にどのような影響がありますか。

市原さん「鼻をつまんで、くしゃみ自体を止める場合、鼻に付着した異物がとどまる程度なので、体への影響はあまり心配しなくてもいいでしょう。大きい音にならないように鼻や口をふさいでくしゃみをした場合は、血圧が上がりやすくなります。もともと、血圧が高い人や脳動脈瘤(りゅう)がある人は避けた方がよいでしょう」

Q.大きな音のくしゃみをしない方法はあるのでしょうか。

市原さん「先述したように、鼻や口をふさいだり、息を出すときに意識的に口を閉じ気味にしたりすると音は小さくなりますが、血圧が高い人や脳動脈瘤がある人は避けた方がよいです」

Q.会社の上司が大きなくしゃみをする中年男性で、そのくしゃみが気になる場合、どのように対応したらよいでしょうか。

市原さん「大きな音に驚くこともあるでしょうが、他人が忠告することではないので何もできません。本人がマスクをしているか、手で覆ったか、そのまま、くしゃみをしたかにもよりますが、唾液が周囲に飛散するため、新型コロナや風邪、インフルエンザの罹患(りかん)が疑われる場合、周囲の人はマスク、手洗い、除菌などで自衛すべきかもしれません。

もっとも、今はコロナ禍ですので、感染対策がしっかりした会社であれば、上司もマスクをしているケースが多いと思います」