高野山霊宝館(和歌山県高野町)の開館100周年記念式典が4月15日、霊宝館本館の放光閣で開催された。葛西光義(かっさい・こうぎ)管長が導師を務め読経をしたのち、高野山霊宝館開館100周年記念大宝蔵展「高野山の名宝」の開幕を祝ってテープカットが行われた。

 高野山内の文化財を保存・展示する施設として開館した霊宝館は、2021年に100周年を迎える。この時に建てられた本館は、国内最古級の博物館に当たり、1998年に登録有形文化財にも指定されている。霊宝館の山口文章(やまぐち・ぶんしょう)館長は、展覧会開幕に当たって、「開館100周年の機に、たくさんの方の要望に応える特別な展覧会をしたいと考えた。高野山の歴史は火災の歴史。山上は水の便が悪く火を消すのも難しくて、たくさんの文化財やお寺が灰燼に帰してきた。明治21年にも大火事があって、そこでたくさんの寺が焼けたことを踏まえ、大正10年に、根津嘉一郎(ねづ・かいちろう)氏を中心に“高野山の文化財を守らなければ”という思いで霊宝館が建てられた」と説明した。

 現在は、大宝蔵や収蔵庫の増築を経て、国宝21件、重要文化財148件などを含む指定品約2万8千点が収蔵されており、未指定品は5万点以上を数える。今回の展覧会ではそのうち、国宝や重要文化財などを含む約220点が4期に分けて展示される。「問い合わせが多いのは、快慶作の孔雀明王像や運慶作の八大童子像などの彫刻、そして国宝の絵画である阿弥陀聖衆来迎図や仏涅槃図などだ。これらは貴重なものなので、たびたび展示することはできなかった。しかし今回は、過去に例を見ない規模で、指定文化財を余すところなく展示することにした。4回来れば、ほぼ高野山の文化財を堪能できるようになっている」とした。

 最後に、「今はコロナで(社会に)閉塞感が漂っている。著しく私たちの生活は変わってしまったが、それでも私たちは生きている。このわれわれに備わるエネルギーは一体どこから来ているのかを考えるきっかけにしてほしい。(この展覧会を見て、)連綿と伝えられてきた文化財、そこに流れる力を感じていただけると思っている。その力と、皆様の中から湧き上がる何かとが合わさった時に、“活力”が生まれ、“安心”を得られると信じている」と来場者にメッセージを送った。

■展示期間
1期:4月17日(土)〜6月6日(日)
2期:6月8日(火)〜8月1日(日)
3期:8月3日(火)〜10月3日(日)
4期:10月5日(火)〜11月28日(日)
※国宝の八大童子立像や聾瞽指帰、諸尊仏龕、重要文化財の金銅三鈷杵(飛行三鈷杵)、孔雀明王像、大日如来坐像は通期展示。