9月も終わりに近づき、涼しい日が続くようになりました。今になると夏の日差しが少し恋しいような気もしますが、爽やかで気持ちの良い季節ですよね。秋になると、夏に受けた肌ダメージがシミ、シワ、くすみなどの肌悩みとして現れてくる、とも言われています。強烈な紫外線や、キンキンに冷えたエアコンの風、大量の汗などによって疲れた肌を、この時季にケアする必要があるのだそうです。

 温泉には「美肌の湯」と例えられるところがたくさんあります。スキンケアに温泉を活用する方も多いのではないでしょうか。今回は「美肌の湯」として名高い、島根県の「美又(みまた)温泉 とらや旅館」をご紹介します。

 美又温泉は、島根県浜田市の山あいに湧く温泉地。開湯から160年以上の歴史を誇り、現在は川沿いに旅館や施設が10軒弱。アクセスは萩・石見空港から車で約1時間、JR山陰本線・浜田駅からは30分ほどです。

 実はこちらの温泉は、環境省、観光庁や運営会社などが官民一体で実施するプロジェクト「温泉総選挙2021」で、「うる肌部門 第1位」に選ばれた正真正銘の美肌の湯。「うる肌部門」とは、保湿作用やクレンジング作用のある泉質の温泉や、うる肌のための取り組みを実施している温泉地が対象で、美又温泉はその中のトップに君臨しています。夏の肌ダメージをケアするのにピッタリな温泉ですね。

 「とらや旅館」は、美又温泉の源泉を鮮度が良いまま提供してくれると評判の宿。温泉街の真ん中に位置し、田舎の親戚の家に遊びに行ったような、人懐っこいご夫婦の営むアットホームな雰囲気の旅館です。

 旅館には大小二つの内湯があります。大きい方の内湯でも、4人入ればいっぱいの湯船が一つのシンプルな造りで、お湯に集中できる環境が整っています。浴室全体に、昭和レトロな渋めのタイルがあしらわれ、どことなく安心感のあるノスタルジックな空間が広がっています。

 泉質は、アルカリ性単純温泉。敷地内から湧く自家源泉と、美又温泉の共同源泉をブレンドして湯船に注いでいます。加水、加温、循環、消毒なしの「完全掛け流し」の湯づかいで、抜群の鮮度を誇ります。水素イオン指数(pH)9.7を示す強アルカリ性のお湯は、肌を効果的にクレンジングする作用があります。また、保湿に寄与するとされる「メタケイ酸」という成分が豊富に含まれていることから、「うる肌」へと導く温泉なのだそうです。

 フレッシュな源泉は、ほのかに甘い硫黄が香り、ツルツルスベスベでトロトロなやさしい肌触り。湯上りはそのスベスベが肌に乗り移り、美容液を使ったかのような「うる肌」を実感できます。

 美又温泉は山陰の大自然が生んだ、海の幸、山の幸をふんだんに使った食事も魅力。とらや旅館では、料理人でもあるご主人が作る食事を楽しむことができます。この日は、地元浜田港で水揚げされた魚介尽くしのメニュー。刺身盛り合わせ、ノドグロ塩焼き、イサキ煮付け、ウチワエビ、アンコウ唐揚げなどが、食卓を彩りました。地元産のご飯もふっくらとしていて、とにかく箸が進みました。魚介の良質なタンパク質と脂質で、おいしい思いをしつつ、身体の内側からも美しくなれそうですね。

 秋は、夏に受けた肌ダメージをケアするための大切な季節。また、行楽の季節でもあります。過ごしやすい気候の中、少し遠くまで足を延ばし、身体の内外からスキンケアと癒やしを求めて、温泉でじっくり過ごしてみてはいかがでしょうか。

【美又温泉 とらや旅館】

住所 島根県浜田市金城町追原11

電話番号 0855-42-1550

URL https://www.kankou-hamada.org/guidepost/6182

【泉質】

アルカリ性単純温泉(低張性 アルカリ性 高温泉)/泉温46.5度など/pH:9.7など/湧出状況:自噴など/湧出量:不明/加水:なし/加温:なし(冬期はあり)/循環:なし/消毒:なし ◆完全掛け流し

【筆者略歴】

小松 歩(こまつ あゆむ) 東京生まれ。温泉ソムリエ(マスター★)、温泉入浴指導員、温泉観光実践士。交通事故の後遺症のリハビリで湯治を体験し、温泉に目覚める(知床での車中、ヒグマに衝突し頚椎骨折)。現在、総入湯数は2,200以上。好きな温泉は草津温泉、古遠部温泉(青森県)。

https://note.com/ayumukomatsu13/