ゴールボールの世界選手権は12月7日、ポルトガル・ポルトで開幕する。

男女ともに16ヵ国が出場。上位2ヵ国にパリ2024パラリンピック出場権が与えられるとあって、熾烈な戦いが繰り広げられることは必至だ。

日本代表「オリオンJAPAN」は男女ともに出場する。女子代表6人のうち4人は東京2020パラリンピックの銅メダリストであり、ロンドン2012パラリンピック金メダルのベテランも残る。世界ランキングは4位で、優勝を狙える位置にいる。パリ2024パラリンピックでの金メダル獲得を見据え、今大会で出場切符を獲得する覚悟だ。

自国開催の東京大会でパラリンピックに初出場した男子代表は、悲願のパラリンピック「自力」出場権獲得を目指している。7月のゴールボールアジアパシフィック選手権大会の優勝国として、女子と同じくパリパラリンピック出場権獲得を狙う。

直前合宿中に、オンラインで記者会見が開催された

男女ともに目標は決勝進出

11月28日に行われたオンライン記者会見。男女代表の指揮を執る、市川喬一総監督は、こう力を込めて話す。

「男子は個々の技術を、女子は横のつながりを強化した。この1年間やってきたことが結果としてどう現れるか、私自身も楽しみにしています」

パリパラリンピックでは東京パラリンピックで10ヵ国だったゴールボールの出場枠が8ヵ国に縮小される。そのため、今回の世界選手権も厳しい戦いになることが予想されるが、「男女ともにいい結果を報告できるよう、私自身も最後までがんばりたい」と熱っぽく語った。

「横のつながり強化でパリ切符獲得に自信」
女子日本代表の意気込み

•天摩 由貴 ※キャプテン
チームの目標は、パリパラリンピックの出場権を獲得すること。東京大会後、合宿や日頃の練習を通し、チームの課題、個人の課題に取り組んできた。また、更なる成長を求めて自己改革に取り組み、東京大会・銅メダルという悔しさを、さらにいいメダルを獲得していくためにどうしたら強くなれるかを考えながら1年間過ごした。一人ひとりがしっかり自分の役割を果たし、今ある力をすべて出すことができれば、目標に届くと思う」

長い間、攻撃で行き詰まっているという天摩は、守備の安定感に自信を持っている

•高橋 利恵子
「女子(チーム)では、横のつながり(連動するための言葉のかけ方や何を目的にやっているか共有すること)を大切にしている。パリパラリンピックの切符獲得を目標に頑張っていきたい。私はセンタープレーヤーなので、ウイングプレーヤーとしっかりコミュニケーションを取りながらディフェンスの壁を作りたい。攻撃についても、(コート内の)3人とベンチの仲間も含め、しっかりとコミュニケーションを取り、フェイクなどの攻撃の指示やタイミングを意識し、チームに貢献したい」

守備の要である高橋は、東京大会で金メダルを獲得したトルコ選手の高いバウンドに対応できるよう取り組んできた
photo by Jun Tsukida

•萩原 紀佳
「東京パラリンピック以降、新たに感じた課題があり、チームとしても個人としても(それにフォーカスして)取り組んできた。世界選手権という舞台で、強化してきた部分をしっかりと発揮して一人ひとりが役割を果たせば、パリパラリンピックの出場権を獲得できると信じている。自分たちの役割をしっかりと発揮し、皆さんにいい報告ができるように頑張ってきたい」

東京大会(写真)後、強豪トルコと渡り合うために球種を増やしてきた萩原
photo by Jun Tsukida

•安室 早姫
「3ポジションすべてのポジションでプレーするが、チームの状況や試合の流れでどのポジションでプレーするかが変わってくると思う。そのとき与えられた役割をしっかり果たせるよう、どのポジションにおいてもしっかり守りながら、自分のボールを投げるべきコースに投げるということを、淡々とやってチームの勝利に貢献したい。すべての皆さんと一丸となって、パリパラリンピックの出場権を獲得したい」

•欠端 瑛子
「私自身の強みは、ボールの鈴の音が聞こえにくい回転投げ。その回転投げを活かした移動攻撃をして、相手の不意を突くという、私の強みを活かした攻撃でしっかりチームに貢献できるよう、頑張っていきたい。今までやってきたことを信じ、自分を信じて、仲間を信じて、一つひとつの試合を楽しみながらやっていきたい」

•小宮 正江
「ここ数年、ナショナルトレーニングセンターで長期にわたって合宿をしていてチーム全体の技術力とチーム力が確実に向上している。コートに立たせていただいたときは、それを自信に変え、しっかりと自分らしさを出して相手の嫌がるところにボールを投げ込み、安定したディフェンスを見せてチームの勝利に貢献していきたい。コートの外でも、つながりを大切にし、皆とたくさん話し、チーム力でパリの出場権を獲得したい」

「パラリンピックよりも厳しい戦い」
男子日本代表の意気込み

•川嶋 悠太 ※キャプテン
「男子チームもパリパラリンピックの出場権を獲得することが大きな目標。(今大会は)予選を通過し、準々決勝からが本当の戦い。正直、パラリンピックより厳しい戦いが待っている。決勝まで最大10試合。選手6人がすべての試合でいいコンディションで臨めればいいが、何が起きるかわからないのが海外遠征。その中で、調子のよしあしがあると思うが、どれだけチームで助け合いができるかが大きなカギになる。初戦のポルトガル戦は、勝ち方にこだわりたい。連戦が続くのでしっかりとチームみんなで話し合い、戦術を立て、決勝まで行ってパリの切符を掴みたい」

川嶋は「今回は自力で出場切符を獲得しなければならないが、これまで大事なところで敗れ、パラリンピック切符を逃してきた。新たな歴史をつくらなければいけない」と力強くコメント

•宮食 行次
「パリパラリンピックの出場権を得るという目標を達成するために、自分ができることは、勝負どころでしっかりと自分のプレーをすること。それが、自分の与えられた役割かなと思っている。僕は、予選のトルコ、ドイツ、ベルギーとの3連戦が1番のカギになるかなと思っている。そこの苦しい戦いを勝ち切るところを(皆さんに)お見せしたい」

宮食は東京大会(写真)後、フィジカルを強化し、得意のバウンドボールの精度を上げた
photo by Jun Tsukida

•金子 和也
「自分の役割として、先発が多くなるかなと思っている。東京大会を終え、自分の課題は何か考えたとき、攻撃とディフェンスの質を上げるというのがあったが、それは(7月の)アジアパシフィック選手権までにしっかり完成させることができた。以降、もう一つのステップアップとして、横の動きの技術を上げ、センターの川嶋選手とのコンビネーションで早い段階で得点を挙げ、常にリードした状態で次の宮食選手や後半につなげられるよう、大会ではコンディションを整えて頑張っていきたい」

•伊藤 雅敏
「ゴールボールを長くやっていて、メンバーの中で最年長者。長期戦の今大会は、そういったところの対応の手段を伝えることができたらいい。プレーの面で、私の(ストロング)ポイントは攻撃面。とくに新球のような硬いボールでは直球を走らせることができるし、今年に入ってから、助走の方向と違う方向にボールを投げる技術(を得て)、さらに転がるボールと弾むボールを織り交ぜる技術を強化した。そういったところを活かして、世界で切り込んでいけたらと考えている。また、ちょっと弱かったディフェンスを強化してきた。とくにディフェンスのときに壁を作ることを意識して取り組んできたので、ディフェンスでも貢献できるように頑張っていきたい」

•山口 凌河
「この世界選手権大会に向けて、東京大会に引き続き、攻撃力が私自身の持ち味だと自分自身では思っている。それがあって、この6人のメンバーに選ばれている。東京パラリンピックでも、アジアパシフィック選手権でも、自分自身の出場機会は少なかった。(限られた)出場時間の中で与えられた役割をしっかりと果たせるよう、全力でプレーする」

•佐野 優人
「得意とする守備でチームの流れを作り、とくに川嶋選手との間では、失点をしないようにしたい。期待の守備から1点ずつ得点を重ね、チームに勝利のバトンをつなげたい」

東京大会ではパラリンピック初出場ながら5位だった男子日本代表
photo by Jun Tsukida

世界選手権は4年に1度開催。男女ともに、計16ヵ国がA・Bの2グループにわかれ、総当たりの予選を行い、それぞれのグループの上位4チームが決勝トーナメントに進む。その後、準々決勝、準決勝と勝ち上がり、決勝進出を決めた時点で、「オリオンJAPAN」があらゆる日本代表のパリパラリンピック出場権獲得“第一号”となる。

key visual & text by Asuka Senaga