iPhone等の「探す」アプリは、ほぼ全てのアップル製品に対応している。第2世代AirPods Proでは充電ケースにUWB(超広帯域無線)チップが内蔵され、イヤホンを収納している際にも探索が可能となっている。

そのなかでApple Pencilは、スタイラスペンとしては高価であり、iPadから離れてしまえば探すのは難しいものの、いまだに「探す」アプリに対応する気配がない。が、将来的に対応する可能性の手がかりが、アップルの新たな特許出願からうかがえるようだ。

米特許商標庁(USPTO)は25日、アップルからの特許出願を公開した。これを発見・報告したウェブサイト「Patently Apple」は、「探す」サービスの対象となる製品リストに、Apple Pencilを追加することに関連するものだと指摘している。

この特許が興味深いのは、UWBチップを使わずに音響信号を使うという点だ。具体的には、スタイラスのハウジング構造(収納ケース)内に組み込まれた音響共振器を用いるという。音響共振器は、スタイラスの先端とは反対側の末端に形成でき、特定の共振振動または共振周波数を有する工学的な厚みに調整された外側ハウジングの部分に含められるとのことだ。

特許文書では、電子デバイスがスタイラスに位置リクエストを送り、スタイラスに音響共振器を使わせて指定されたターゲット検出器のための音響信号を生成できる(音を鳴らす)と記されている。

共振周波数とは、物体を最も大きな振幅で振動させる周波数のことだ。たとえば飛行機の中でトレイテーブル上の物が突然激しく振動したり、歌声だけで手を触れなくてもグラスが割れる、といった現象が思い浮かべやすいだろう。これらは飛行機が発生する音や歌声が、物体の固有振動数(物理的に決まった振動数)と一致したためだ。

要するに本特許は、iPhone側から音を発して、Apple Pencilのエンドキャップを共振させて音を出させるというものだ。

まるで笛を吹くと鳴き声を上げさせるような雑なやり方で、細かな位置までは分からないだろう。とはいえApple Pencilの小さな筐体にチップを入れる必要もなく、コストもかからない。レストランなど広い場所に置き忘れた場合は役に立ちそうにないが、近くにあるときは見つける目安にはなるだろう。

アップルのようなハイテク大手は日常的に大量の特許を出願・取得しており、そのうち製品化にこぎ着けるものはごく一部しかない。しかし高価な上に見失いやすいApple Pencilのユーザーからは、実装を望む声があがりそうだ。

Source: Patently Apple

via: 9to5Mac