Beatsの新たなヘッドホン「Beats Solo 4」が本日5月14日より発売となる。価格は32,800円(税込)で、マットブラック、スレートブルー、クラウドピンクの全3色を用意する。

Beatsのヘッドホンはオーバーイヤーの“Beats Studioシリーズ”とカジュアルなオンイヤー型“Beats Soloシリーズ”の2ラインを展開しており、今回のSolo 4は、後者Soloシリーズ8年ぶりの新世代機となる。

Beatsファン、とりわけ前モデル「Beats Solo 3」を愛用していた方にとっては、まさに気になる製品だろう。果たしてどのような進化を果たしているのか、編集部員が持っていたSolo 3と比較しながら確かめてみたい。

■USB-C搭載、空間オーディオ対応などあらゆる部分がアップグレード

“Beats Soloシリーズ”は、Beatsヘッドホンにおけるカジュアルラインのシリーズ。これまでに累計40万代以上を売り上げたBeatsでもアイコニックなヘッドホンだという。前世代にあたる「Beats Solo 3」は2016年の発売だったので、実に8年ぶりの世代交代となるわけだ。

厳密に言うと、2019年にノイキャン搭載機の「Beats Solo Pro」がリリースされているが、Solo 4はノイキャンは非搭載。ネーミングからしても、Solo 3の後継と言っていいだろう。

デザイン的にはSolo 3とほとんど変わらないものの、機能的にはあらゆる部分でアップグレードがなされている。最たるものがUSB-C端子の搭載だ。2016年から8年間現役で居続けたことを考えれば仕方ないものの、iPhoneすらUSB-C端子を備える昨今において、micro B端子のSolo 3は時代に取り残されていたと言わざるを得ない。

ドライバーをはじめとした音響周りは「原音に忠実なサウンドを届けるため」に刷新。さらに「Beats Studio Pro」「Beats Studio Buds+」といった近年のBeatsプロダクトと同様に、Apple Musicなどの空間オーディオ音源が再生できるようになった。また、USBケーブル接続でのロスレスオーディオ再生にも対応している。

再生時間もSolo 3の最大40時間から最大50時間へとアップデート。Apple傘下なだけあって元々iPhoneとの接続性が高かったところ、Androidデバイスともワンタッチペアリングや自動接続ができるようになり、「どんなスマホでも使えるエコシステムのネイティブな互換性」を備えたという。

■前世代機「Solo 3」と聴き比べ

肝心の音質だが、結論から言うとSolo 3とはまるで別物だ。

Solo 3はベース音がグッと前に出る、ビートを強く感じさせてくれるサウンドなのに対し、Solo 4は全帯域にわたって出ているものの、低域はかなり大人しめで、中域 - 中高域の、ちょうどボーカルあたりにフォーカスが当たった緩やかな逆ピラミッドサウンド。「原音に忠実なサウンド」と謳う通り、モニターライクな印象を覚える。最も、これ自体は近年のBeats製品に共通するサウンド傾向でもある。

例えばBE:FIRSTの「Masterplan」を聴いてみると、その違いがよく分かるだろう。Solo 3では唸るようなベースが全体を支配しつつ、ボーカルも色気たっぷりに聴かせてくれる。簡単に言えば「ノレるサウンド」で、その代わり和楽器など上物の音は埋もれやすい。

対するSolo 4では、ベースは一歩引いて全体の土台固めに徹し、代わりにボーカルを鮮やかに、力強く聴かせてくれる。全体的な音の見通しが良く、和楽器のカラッとしたニュアンスも余すことなく表現。思わず体を揺らしたくなるようなエモーショナルさは薄まった分、冷静に、よりアーティストの意図した音を聴くことができるように感じられた。

音色的にそこまで聴くジャンルを選ぶタイプではないが、一点挙げるとすれば、YOASOBIや緑黄色社会といった、低域控えめで上物の多い逆ピラミッドサウンドのJ-POPを再生すると、高域がややガチャガチャしてしまうような印象も受けた。

どちらの方が良い音か、は人によって変わってくるが、少なくともSolo 3の音の傾向を想像していると「思ってたのと違う……」となるだろう。実際、他の編集部員にも聴いてもらったが、もれなく「本当にこれ後継機?」というリアクションが返ってきた。Beatsのアイコニックなヘッドホンがどのように変わったのか、まず量販店などで試聴してみることをおすすめしたい。