2021年は「選挙イヤー」だ。コロナ対策をはじめ与党自民党への不信感が高まる中、民意を伝える絶好の機会として注目が集まる。

一方、慶應義塾大学教授の松井孝治氏は、このままでは昭和の「55年体制」と同様の状況になりかねないと指摘する。衆議院議員選挙を控えた、各野党の現状とは。

※本稿は『Voice』2021年7⽉号より⼀部抜粋・編集したものです。


「55年体制」に逆戻り

政府や自民党に対する国民の不信感も影響してか、今年4月の衆参三選挙区の再選挙および補欠選挙では、すべてで野党候補が勝利した。ただし今回は、あくまで国民が自民党に「お灸を据えた」結果だろう。

決して野党が評価されたわけではない。野党候補の一本化は、選挙戦術としては奏功したかもしれないが、今回に関していえば与党が負けるべくして負けたにすぎない。自民党には地道に良い仕事をしている若手議員も間違いなくいる。

しかし一方で、先般の入管法改正案の突然の撤回に代表される爛熟の国対政治や、霞が関の労働環境の劣悪化が進展しその元凶が国会や与野党と行政との関係であるにもかかわらず、国会改革の論議が低調であること、本来なら公務員制度の抜本改革が必要であるにもかかわらず、本質論抜きで定年延長法案を認めてしまう横着さ、何かといえば○○庁の設置や担当閣僚の設置を求める提言が横行するなど、少なくとも平成期の自民党には存在していた政治や行政に関する改革意欲が、自民党のなかで急速に希薄化している事態は深刻である。

今年は選挙イヤーで、10月までのどこかで衆議院議員選が行なわれる。立憲民主党と共産党は選挙協力の動きをすでにみせており、選挙候補を一本化すればそれなりには善戦するだろう。

ただその結果、どんな未来が待ち受けているかといえば、昭和の「55年体制」に逆戻りするだけだ。すなわち、かつては与党第一党を自民党、野党第一党を社会党が占めていたが、今回は立憲民主党がかつての社会党の位置にとって代わるだけの話だ。

彼らは往々にして自民党の政策に声高に反対こそ唱えるが、政権を獲る気があるかといえば、甚だ怪しい。政治家としての使命よりも国会議員としての地位を安泰させることが大事で、一定の影響力を有していればそれで満足なのではないか。