アナウンサーとして、多種多様な数多くの人たちの話を聞いてきた魚住りえ氏。その経験を通じて培ってきた、相手に好印象を持ってもらい、会話を弾ませて、人間関係を良好にする「質問」の仕方を教えてもらった。(取材・構成:内埜さくら)

※本稿は、『THE21』2021年4月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。


テレワークの浸透で“質問力”がますます重要に

コロナ禍により、テレワークがニューノーマルとして定着しつつあります。私もオンラインで司会や講演をさせていただく機会が増えました。

コミュニケーションに関する研修もオンラインでさせていただくことがありますが、40〜50代のビジネスパーソンには、このような悩みを吐露される方が多くいます。

「直接顔を合わせなくなってから、部下が何を考えているのか、ますますわからなくなりました。うまくコミュニケーションが取れているのか不安です……」

若い世代には、ウェブ会議のとき、映像をオフにして音声もミュートにする人が増えているとのこと。確かに、顔が見えず、声すら聞こえなければ、心許なくなるのは致し方ありません。

ですが、テレワークが増えた今こそ、「質問力」を高めるチャンスです。相手の話を聞き出せるか否かは、質問力次第。

時代は変わりました。一人で一方的に話し続ける人ではなく、オーディエンスに絶えず質問をして、会話を活性化できる人こそが、相手に好印象を持たれ、仕事の成果も上げられるようになったのです。

もちろん、対面でも、コミュニケーションを円滑にする質問力は役立ちます。磨いておいて損はありません。


池上彰氏の解説のポイントは質問にあった

質問力に優れている人には、次の三つの特徴があります。

一つ目は、対話型のコミュニケーションができること。

代表例が、ジャーナリストの池上彰さんです。理解するのが難しい世界情勢や政治経済について、わかりやすく説明してくださることで有名です。

難解な話題であるにもかかわらず、池上さんのお話が視聴者の心を離さないのは、適宜、ご自身の話をストップして、質問を挟み込んでいるからです。

聞き手であるゲストの表情や仕草を観察しながら、「◯◯さん、わかりますか?」「ここまで、皆さん、大丈夫でしょうか?」「何か質問はありませんか?」などと問いかけます。

「米国の新大統領は、世界にどのような影響を与えると思いますか?」など、視聴者に問いかける質問をすることもあります。

すると、ゲストや視聴者は、「どうなるんだろう」と考え込む。そして、池上さんの答えを心待ちにする。話を聞いている人の思考や感情を、決して置いてきぼりにはしないのです。

ビジネスシーンにおいては、会議やプレゼンテーションで使える方法ではないでしょうか。

池上さんの他に私が尊敬しているのは、とんねるずの石橋貴明さんです。

一例を挙げると、番組のゲストの芸人さんに、「なぜYouTubeを始めようと思ったの?」「そのとき、相方はなんて言ったの?」など、「自分が聞きたい質問」ではなく、「次の話題への架け橋となる質問」を、「短い言葉」で「頻繁に繰り返して掘り下げる」のです。

加えて、「へぇ〜」「ほう〜!」など、ポジティブなリアクションで場を盛り上げていて、ゲストが次第に心を開いていっている様子が手に取るようにわかりました。

石橋さんのすごさは、トークスキルのみに留まりません。相手が誰であろうと、話を聞くときは必ず身体を相手に向けるのです。そして、絶対に最後まで相手の話をさえぎらず、目線を合わせながら聞く。自分が相手と同じステージまで降りて、相手と同等の立場で話を聞いているということです。

石橋さんは自分で面白い話ができる方なのに、会話を独占しない。「引き算の美学」を徹底していらっしゃいます。

現在59歳の石橋さんの「対話型コミュニケーション」は、上司世代のビジネスパーソンにとって参考になるはずです。