ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」(https://www.flierinc.com/)。

こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのは『Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」』(亀井 聡彦、鈴木 雄大、赤澤 直樹著、かんき出版)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。


「Web3」が注目される時代背景

数年前からWeb3(ウェブスリー)という言葉を耳にすることが多くなってきました。インターネットは、誰でも自由に世界中の情報が受信できるようになったWeb1.0、SNSに象徴されるように活発な情報交換が行われるWeb2.0と進んできました。

GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)を代表とする、いわゆるプラットフォーマーが隆盛を極め、世界のIT産業は一部のプレーヤーにより寡占が進んだようにも見えます。そのような環境で登場したのが、Web3です。

Web3は明確な定義がなされているわけではなく、ブロックチェーン技術やVR/AR技術を用いた、次の時代のインターネット像を指す言葉だと理解されています。

ブロックチェーンを用いて、デジタル空間上で唯一でオリジナルなものという希少性や信頼性を保証することができるようになりました。今後Web3の仕組みにより爆発的な勢いでサービスが生成され、プラットフォーマーの独占が揺らいでいくかもしれないとも言われています。

所有の概念がデジタル空間で広がることから、世の中の仕組みをひっくり返す可能性を秘めています。Web3に賛同する人が広がっていく背景には、会社や政府、銀行などのいわゆる既得権益者に対する憤りや信頼の喪失があるように感じられます。


「ブロックチェーン」から生まれた多様な概念

ブロックチェーンに関してはもう何度も耳にしている人が多いでしょうから、概要にとどめます。この技術は暗号技術を土台にして、中央の管理者がいなくてもなりたつ生態系を作り上げていることが重要なポイントです。特にビットコインの価格の上昇によって、ブロックチェーンへの注目が集まりました。

本書にはブロックチェーン技術の応用が様々紹介されています。まずNFT(Non‐Fungible‐Token、非代替性トークン)です。比較されるものはFungible‐Token(代替性トークン)と呼ばれるビットコインなどの暗号資産です。

NFTの仕組みにより、今まで無制限にコピー可能でどれがオリジナルのものかわからなかったデジタルデータに、希少性と信頼性を与えることができます。

NFTの世界では、アーティストが描いたNFTアート作品が6900万ドルで落札されるようなことが起っています。資産の概念をデジタル空間に持ち込む、革新的な発想の転換だとも言えます。

その他に、ブロックチェーン技術を応用して、分散型金融を指すDeFi(ディーファイ)、ゲームに応用したGameFi(ゲーミファイ)などの多様な概念が生まれています。本書にはこれらの他にも様々なバズワードが紹介されています。その多くがブロックチェーン技術の応用であることがわかります。


人々の願望を叶える「メタバース」

デスクトップPCや大型の携帯電話が中心だった時代から30年ほど経って、今のインターフェースはスマートフォンが主流となりました。その先の技術として位置付けられているVRやARの機器も、既に多くが市販されています。

まだ機器も大きく、その中の没入感も十分とは言えませんが、この先の技術進化によって機器は軽量化され、解像度も上がってリアル空間に近い仮想空間が形作られていくことはほぼ間違いないでしょう。

そのような技術と、ブロックチェーン技術によるデジタル上の所有の概念を総合したものをメタバースと表現することが多いようです。

今のスマートフォンを置き換えられるかどうかは、いまだ賛否が分かれます。それでもリアル空間と変わらない世界ができたとしたら、仮想空間上で生まれ変わることが可能になってきます。例えば、理想の外見やリアル世界では秘めている人格を表現する場にもなりえます。

人は内面に様々な願望を持っていますし、色々な面を併せ持っています。例えば現実世界ではなることが難しい、アイドル、お金持ち、モデル、役者、インフルエンサーなどに仮想空間ではなれるかもしれません。

また、現実世界とは真逆の性格にもなることもできるでしょう。そのような欲求をかなえる場が実現できれば、現実世界よりも長く仮想空間に滞在することになるかもしれません。メタバースには人の希望をかなえる様々な可能性が広がっているように思えます。