がんの進行で始まった夫の徘徊…死後に妻が気づいたその行動の意味

がんの進行で始まった夫の徘徊…死後に妻が気づいたその行動の意味

価値観を守るために「医者とケンカ」できるか

もちろん、主治医とのウマは合いません。当然1〜2週間入院することが必要な期間でさえ我慢できない夫は、2〜3日で「もう帰る」と言い出します。
こんな夫のことは「言うことをまるできかない面倒な人」と見られていたことでしょう。もしかすると、「奥さんは看護師なのに、なんで夫ひとり説得できないんだ」と思われていたかもしれませんね(笑)。
「治療もせずに家に帰るんだったら、あなたのことはもう診ないよ」
夫は主治医から、何度もこんな言葉をかけられていました。
普通の神経の持ち主であれば「先生のおっしゃる通りにいたします」と従うでしょう。でも、そこは根性のある夫、「診ないよ」と言われると「ありがとうございます」とすかさず返していました。もちろん、主治医はカンカンです。
でも、夫にとっては、それが「ベストアンサー」。他の人の価値観と、どれだけ異なっていても、彼にとってはそれがベスト。
それはそれで、仕方がありません。結局、在宅療養の間にのべ3回も管の交換の処置のために入退院を繰り返しました。
2回目の管の交換のあと、容態が急変して救急車で運ばれ、強制入院になったことがあります。今回ばかりはじっくりと入院加療が必要だと、医者からはされました。
しかし夫は病院から脱走して、体中にチューブを巻き付けたまま、ひとりで電車に乗り、着の身着のまま自宅に"逃げ帰って"きました。
私は、「夫はそこまで病院が嫌なのか」というショックと、驚きと、病院への申し訳なさで、玄関に立ち尽くしました。
一方、息子たちは、父親をひと目見て「あっぱれ!」と褒め、ゲラゲラとずーっと笑い転げていました。そんな明るい息子たちに気勢をそがれた私は、怒る気力もスーッとなくなり、「とりあえず病院へ戻ろう」と説得をする気分も消え失せました。


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