片づけ脳になる一歩は、朝の散歩に出かけること

加藤さんは脳の模型を使って各脳番地の特徴をわかりやすく解説してくださった。

── 脳番地ごとの具体的なトレーニング方法はご著書に譲るとして、片づけ脳を定着させるためにおすすめの方法を教えていただけますか。

朝起きたら散歩に出かけてから、片づけに取り掛かることです。体を動かすとアイディアが浮かびやすいという経験はありませんか? これは、企画を立てるときに活性化する「思考系脳番地」が刺激されるから。思考系脳番地は、運動系脳番地と一緒に動かすと、よく働く性質があります。

だから散歩や軽い運動をすると、頭が整理され、アイドリング状態になるのです。だからキッチンやリビングが散らかっていても、悩む前に動くことをおすすめします。

── とはいえ、いらないものが机の上に積み上がっていたら、片づけ始めるのが億劫になりそうです。

不要だと思うものが積み上がっていたら、ゴミだととらえがち。ですが、あえて「宝の山」だととらえてみてはどうでしょうか。自分を変えられる素材が山ほどあると考え、先入観にとらわれず、新たに興味がもてそうなものを発掘してみる。

そして、「実はこんな意味づけができるんじゃないか」と発想する。こんな風にすれば、一見面倒なルーティンである片づけが、実はクリエイティブに考えるための時間になるのです。

脳には、普段、使っている脳番地ばかりに依存しやすく、知らず知らず固定的なパターンをつくり出す性質がある。そのパターンから離れるためには、普段使わない脳の使い方を、片づけで試してみればいい。まさに「自分を変えるための片づけ」は思考のマンネリ化を予防してくれます。


意思決定力を高めたいなら、判断基準の「テンプレ」を用意しよう

── 片づけでは、「捨てるかどうか決められない」という意志決定の問題にぶつかる人も多いと思います。かくいう私も大事な意思決定で悩むクセがあります。「そもそも判断軸はこれでいいのか?」などと考え、心が疲れてしまって……。悩みグセを直す方法はありますか。

悩みグセを解消するには、「思考系脳番地」を鍛えるのが一番です。この脳番地は、思考や判断を担う司令塔のような存在。思考系脳番地のパワーを発揮させるには、脳のワーキングメモリの容量を一定量確保することが大事です。

自分の判断だけで進められる仕事を、締切がいつかに関係なく、サクサク片づけていく。そうすればTo Doリストが減っていくため、メモリがパンクせず、意思決定疲れを防げますよ。

── ぜひそうしてみます! 一人で完結せず、他者が関係する意思決定のときこそ「間違っていると非難されるのでは」などと不安になりがちなのですが、どう対処すればいいでしょう?

そうしたネガティブな感情に振り回されているときは、思考から感情を切り離さないといけません。

おすすめは、事前に判断基準の「テンプレ」をつくっておくこと。たとえば1日のTo Doリストをこなす際、自分で都度判断しようとすると、感情が動いてしまう。

だから、「1分以内に返せそうな内容のメールはその場で返事する」などと、機械的にテンプレにあてはめて判断するのが効率的です。

もう1つおすすめの方法があります。

何かプロジェクトを進める際、ゴールまでの工程を俯瞰して、できるだけ小さなタスクに分解する。そして、自分の判断だけで進められるタスクはまとめてサクサク進める。

一方、他人が絡む案件など、ボトルネックになりそうなところは、少し時間をあけて対応するのです。たとえば、いつも説得に時間がかかる上司への相談やレスポンスの遅い同僚への対応は、最初から時間がかかると想定しておく。それだけで相手のことで悩む時間を圧縮することができます。

── 自分だけで進められるタスクと、他者が関係するタスクを区別しておくのですね。ぜひ試してみます! 意志決定力を磨くために普段から取り組むとよいことはありますか。

1つは、意思決定に必要な情報が集まっているかどうかを確認すること。足りない情報を見つけるには、「マインドマップ」を書くとよいでしょう。

意思決定したいテーマを真ん中に書いて、そこから連想したワードを書いていく。いったん書き出したら散歩に出かけてみましょう。場所を変えると、人の思考回路も変わります。その後マインドマップを見直すと、足りていない情報に気づきやすくなるのです。

あとは、意思決定がうまいと思う上司や先輩っていますよね。その人たちが決断を下す場面を観察しておくのも効果的です。即決しているように見えて、必ず事前に確認している点があるな、などと気づいたことを真似するとよいでしょう。