肩こりや腰痛に悩まされているビジネスパーソンは多い。色々と試してみても治らないと悩んでいる人も少なくないだろうが、ウォーキングの専門家である山﨑美歩呼氏は、「正しく歩くだけで改善できる」と話す。「正しく歩く」とは、いったい、どんな歩き方なのか?


姿勢の悪さが心身の不調をもたらす

 皆さんはご自分の後ろ姿を見たことがありますか? かなりの人が、とても残念なことになっています。世の中には、なんと猫背の多いこと……。

 猫背は、背中全体の筋肉を固めてしまい、肩こりや腰痛の原因になります。

 猫背の人の特徴は、肩や腕が通常の位置より前に出てきていることと、頭が骨盤の延長線上よりも前に出てきてしまっていることです。

 腕が前に出てきていると、肋骨が腕で押さえられ、肋骨の中の肺も動きが小さくなり、呼吸が浅くなります。浅い呼吸で過ごしていると、代謝が落ち、太りやすくなります。脳への酸素の供給も少なくなるので、集中力や記憶力の低下にも繋がります。

 そして、丸めた背中は動きが鈍くなり、どんどん硬くなって、頑固な肩こりを引き起こすだけでなく、骨盤が歪み、腰への負担も増えるので、腰痛の原因にもなります。

 背骨(脊柱)の中心には「脊柱管(セキチュウカン)」という穴が通っていて、この穴の中を脳から繋がる神経の束「脊髄」が通っています。その神経は枝分かれして、目や肺、心臓、胃、腸など、全身の神経へと繋がっています。姿勢が悪いと背骨が歪み、歪んだ部位の脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫されます。結果として、脳と体との情報のやり取りが妨げられ、体全体の不調につながります。

 つまり、猫背にしているだけで、残念のオンパレードと言える状態なのです。


猫背は内臓にも負担をかける

 頭は5キロくらいの重さがありますが、猫背になると頭の位置が自然に前に出てくるので、頭を支える首・背中の負担は倍以上になると言われています。

 パソコンやスマホのしすぎによるストレートネックもそうですが、首・背中に負担がかかり、背中側の筋肉がガチガチに硬くなっている状態下では、想像以上に血流やリンパの流れが滞ります。

 また、首は脳と体の末端までを繋ぐ神経が通っているところなので、その首に負荷がかかり続けると、ひどい場合には、頭痛・吐き気・視力低下などといった症状も引き起こします。

 猫背だと肋骨も圧迫しますから、本来、より上にあるべき内臓の位置が低下してしまいます。そして、骨盤の中に収まっている内臓が、上から降りてきた臓器に圧迫されて、動きが悪くなります。癒着することもあります。

 第二の脳とも言われる腸も圧迫されて動きが鈍くなり、便秘になりますし、腸内で9割以上生成されるという幸せホルモンセロトニンの分泌も悪くなり、メンタル面にまで影響を及ぼします。自律神経の乱れにも関係していることがイメージしていただけると思います。