高齢者になると暑さを感じにくくなるものです。暑い中でもエアコンを使わず、気づかないうちに熱中症になってしまうケースも珍しくありません。命に関わる熱中症を予防するには? 高齢の家族にエアコンの使用を促すコツを、大迫知信さんが自身の体験、そして介護のプロからのアドバイスを紹介します。

※本稿は、『PHPくらしラク〜る♪』2024年7月号より、一部を抜粋編集したものです。

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おばあ:松原文子(90歳)
1934年生まれ。大工の棟梁の夫と若い衆、子や孫に料理を作り続けてきた。近年パーキンソン病を発症し、孫の手助けが必要に。料理や介護に奮闘する孫に感謝しつつも、感想は率直で手厳しい。

孫:大迫知信(40歳)
脱サラ後、おばあが作るちょっと変わった料理に支えられ、念願だった物書きに転身。著書『おばあめし』(清流出版)を出版。おばあが台所に立てなくなってからは、自らが作る"まごめし"を出している。
・ブログ「おばあめし」https://obaameshi.com/
・Instagram https://www.instagram.com/obaameshi/
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おばあにエアコンを使ってもらうには?

【介護のプロに聞いてみた】

――おばあがエアコンをつけてくれないのですが......。

これが、ほんまに問題なんですよ。うちの施設(ちよの里)でも、お部屋にうかがうと、どんなに暑い日でもエアコンをつけていない方がいらっしゃいます。さらに「寒い」と言って毛糸のセーターを着る方もいるくらいです。でも体は熱くなっているんですね。高齢になると暑さや寒さを感じにくくなるんですよ。

近ごろの暑さでは、命に関わる場合があります。そんなときは、ご家族の了解をいただいてエアコンのリモコンはこちらが預かり、室温の管理をさせていただいています。室温は大迫さんも設定した28℃がいいと思います。

――室温の調整は、家族や周りにいる人がするのがいいんですね。

そうですね。家庭ではご家族がリモコンを預かって、常に快適な室温になるよう心掛けてください。デイサービスのような福祉施設に自宅から通っている場合は、送迎の方にエアコンのオン・オフをお願いすることも可能です。ご本人にはエアコンがついているかどうか意識させない環境にする。それくらいがちょうどいいかもしれません。

――おばあの場合は、ずっとつけておくので、リモコンを預かることまではしなくていいような......。

それが、リモコンが目の前にあると、大変な状態になることがあるんですよ。

――たしかに、そんなことありました......。

協力:一由麻里
おばあと孫が暮らす大阪・四條畷市で90年続く福祉の会社、畷ケアサービス(ちよの里)を営む3代目。介護の問題に直面するおばあの孫の相談に乗っている。

マンガ:いしづかちなつ
京都芸術大学マンガ学科卒業。認知症をわずらった祖父の介護にあたった6年間をマンガにした同大学の卒業制作『ころがる毎日』で優秀賞を受賞。