他人の気持ちを考えられず、相手を傷つけてしまう...そんな特徴を持った子どもに、相手が言われたらイヤな言葉を教えるにはどうしたらいいのでしょうか。長年にわたって特別支援学級の教師を務めてきた村田しのぶさんが解説します。

※本稿は、村田しのぶ著『発達障害&グレーゾーンの子どもが「1人でできる子」になる言葉のかけ方・伝え方』(日本実業出版社)から、一部抜粋・編集したものです

村田しのぶ
秦野市就学指導教育支援員、公立小学校特別支援非常勤講師、保育所等訪問支援員、放課後等デイサービスにて児童支援員。
神奈川県綾瀬市、秦野市立小学校の普通学級教諭を15年務める。その際、学級の中に自閉スペクトラム症、場面緘黙症など、さまざまな発達障害の児童がいたことがきっかけで特別支援を要する児童の教育に関心を持ち、その後、特別支援学校教諭の免許を取得し、特別支援学級を25年以上にわたって担当する。

コミュニケーションが苦手

自己中心的な行動を起こす

「会話が成立しない」のも発達障害の子どもに見られやすい特徴の1つです。次のような例があります。

・オウム返し、「1語」しか出てこない

Fくんは、いつも笑顔がなく、無表情で、抑揚のない話し方をします。担任の先生はFくんが発達障害ではないかと疑うのですが、保護者は「成長がゆるやかなだけ」と反論します。

担任の先生がFくんに「○○できましたか?」と聞くと、Fくんは「できましたか?」とオウム返し。先生が「○○わかりましたか?」と聞くと、Fくんは「わかりましたか?」と最後のフレーズをオウム返しします。

G子さんの例を見てみましょう。先生がG子さんに「町探検で、何を発見しましたか?」と聞くと、「バッタ」と答えることができます。けれども、その次の言葉が続きません。

先生が「バッタのほかに、何か発見したものはありませんか?」と聞くと、「ちょうちょ」と答えます。見つけた物を答えるだけで、文章として順序立てた話ができないのです。

・他人の気持ちを考えることが苦手

K太くんはブランコに乗っている友だちに「僕と替わってよ」と言えません。いきなり友だちに近寄り、無言のまま叩いたり、蹴ったりして友だちを降ろし、ブランコに乗ろうとするのです。友だちは驚いてべそをかくことに。

先生が飛んできて仲裁するものの、K太くんは自分が叱られることに納得できず、逆に怒り出します。相手がどんな気持ちかを理解できず、「ごめんなさい」が言えません。

Wさんは、ほかの人の話の中に割って入ります。それまでの会話とはまったく無関係の話を、自分勝手に始めます。「Wさん、ちょっと待ってね」と言うと、怒り出したり、すねたりします。人の話を聞けず、他人の気持ちを考えられないので、いつも友だち関係がぎくしゃくしています。