日本の子どもは自己肯定感が低い傾向にあるという指摘があります。海外と日本では子育てにどう違いがあるのでしょうか? ありのままの自分でいいという「自己肯定感」を育むためにはどうしたら良いのでしょうか?

本記事では、キリスト教の聖書を元にした欧米の教育観と日本の子育てをと対比させながら、子どもの「生きる力」を育む方法を解説した書『世界に通用する「個性」の育て方』(後藤哲哉著・日本実業出版社刊)から、自己肯定感を高めるヒントに触れた一節を紹介します。

※本稿は日本実業出版社WEBサイトに掲載されたものを一部編集したものです。

【筆者紹介】後藤哲哉(ごとう・てつや)
1972年、埼玉県入間市生まれ。東京基督教大学神学部卒。西南学院大学神学部卒。クロスロードチャーチ岡山の牧師。心理カウンセラー。子育てセミナー講師。24歳という当時、ほぼ最年少で牧師に就任。これまで延べ58,000人以上に聖書の教えを説いている。心理学も用いた独自のカウンセリング法で、悩める人を正しい道へ導く牧師として多くの人々から支持を得ている。また、大手重症児童医療センターや有名教育機関や自治体などで多数の講演を行っている。


“自肯定感”がすべてに影響する

「自己肯定感」という言葉を、最近よく耳にします。簡単に言い換えると「自分はこれでOK」と「自分自身を尊重し、存在を肯定」する感情のことです。

子育てに限らず、大人の人間関係や仕事おいても、この感情のあるなしが生活に影響します。自己肯定感が低いと、「生きづらさ」を感じ毎日の生活が難しくなってしまうのです。

たとえば、「私は生きている価値がない人間だ」と思ってる人が、精力的に仕事に取り組むことができるでしょうか? 自分に自信のない人に、同僚や部下がついてくるでしょうか? 

もちろん形のうえで仕事をすることはできますが、成功につなげられるかといえば、なかなか難しいはずです。なぜなら、自身が仕事を楽しいと思っていませんし、周りを巻き込む魅力にも欠けているからです。

自己肯定感の低い人は、単に心の内側のモチベーションが低いだけではなく、外見的にも自信のなさが表れます。具体的には表情や眼力、気だるさ、声のトーン、言葉の選択などに表れ、「この人には魅力を感じない」と他人から判断されてしまいます。無理に笑顔をつくり、言葉遣いに気をつけてみても、根本的な解決には至りません。

子育て中の親御さんも、まずは自分が自己肯定感を持っているかどうか、考えてみてください。


だれしも、かけがえのない価値がある

あなたは自分のことをどれくらい価値のある人間だと思っていますか? ここで、【自分テスト】をやってみましょう。以下の問いにいくつ当てはまるでしょうか?

問1. 仕事(勉強)がすべて順調だ。
問2. 人間関係がすべて良好だ。
問3. 老いや身体の衰えを感じない。
問4. 家族・親戚みんな大好きだ。
問5. 着実に貯金ができている。
問6. 年に1回は海外旅行へ行って、リフレッシュしている。
問7. 夢はすべて叶えた。
問8. ローンや借金がないし、これからも利用することはない。
問9. すこぶる健康だ。
問10. 他人のことをうらやましいと思うことはなく、いつも気持ちはハッピーだ。

これらは、私がいつも自問している事柄です。これらの答えがNoであればあるほど、自己肯定感は低いと考えています。……ちなみに私はこの10問の答えは、ほとんどがNoです。「自己肯定感がほぼゼロってこと?」、そのような声が聞こえてきそうです。

では、私が自分自身に点数をつけるとしたら何点かというと、……100点です! 「どこから来るんだ、その自信は!」と叱られそうですが、これは、私の言動や気持ちを根拠にした採点ではありません。

聖書は、昔も今もこれからも変わることなく、「あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」と私たちに語りかけます。この基準に照らし合わせると、私たちは何ができる・できないに関係なく、そのままで十分に価値があって、愛されるべき存在なのです。

私は、この聖書の価値基準に則って自分の点数をつけたのです。だから、「自分はこれでOK」といえるのです。そうした意味で、私は自己肯定感を高く持つことができています。

もちろん人間に点数など付けられませんが、私が言いたいのは、私たちが自分で決めた価値基準をクリアできればOK、できなければ人生落第と思ってしまうことに大きな危険があるということです。

さらに「自分はこれでOK」と思えない大人が親になると、子どもに「何かができれば合格、できなければ不合格」という価値観が引き継がれてしまいます。それが続くと自己肯定感が低くなり、心が安定しませんし、何をするにも自信がなく意欲を失った子供になってしまうことも……。