祭壇や遺影はなく、通常の葬儀で行われる法要もない。親族やごく親しい芸能関係者約50人が、無言で1人ずつ棺に花を納めていく。9月18日、都内の斎場で女優・芦名星さん(享年36)の「お別れのお花入れの会」がしめやかに営まれた。

 芦名さんは、現在配信中のFODドラマ『あの子が生まれる…』に出演。10月スタートの人気ドラマ『相棒 season19』(テレビ朝日系)にもキャスティングされるなど、仕事は順調そのものに見えた。

「彼女が自ら命を絶った部屋には、溺愛する愛犬のチワックス(チワワとミニチュア・ダックスフントのミックス)が置き去りにされていたようです。責任感がひときわ強かった彼女が、仕事や愛犬を残して旅立つなんて、どうしても信じられません……」(芦名さんの知人)

 亡くなった当日に発売された男性誌のグラビアでは、セクシーな下着姿を披露し、仕事の幅も広げていた芦名さん。彼女を知る多くの人が「理解できない」といぶかしむなか、異変を感じたのは芦名さんの兄だった。

 前日から連絡が取れなかったことに胸騒ぎを感じた兄は、9月14日の早朝に芦名さんの住む都内のマンションを訪れた。合い鍵は持参したがU字ロックがかかってドアが開かなかったため119番通報し、駆けつけた消防隊員とともに部屋に踏み込んだ。

「彼女は寝室のクローゼットの奥で変わり果てた姿になって見つかりました。現場にはお兄さんが泣き叫ぶ声がこだまして、救急車が駆けつけました。室内に遺書は残されていなかったそうです」(芸能関係者)

 なぜ、彼女は悲しすぎる結末を選んだのか。

 芦名さんは、1983年に福島県郡山市で生まれた。父は会社員で、芦名さん似の美系で有名だった母はスーパーでパート勤務していたこともある。彼女は3人きょうだいの末っ子で、幼い頃から目立つ女の子だったという。

「上の2人のお兄さんとは年齢が離れていて、家族みんなにかわいがられて育ちました。小学校の頃はショートカットで活発な女の子で、ブラスバンドの先頭でバトンをくるくる回しながら行進していました。すごくかわいらしくて、地元でも評判でした。スポーツが大好きで、バレーボールや陸上をやっていました」(芦名さんの実家の近隣住民)

 中学卒業と同時に上京し、スカウトされて芸能界入りした。2002年にモデルとしてデビューを果たし、翌年に女優デビュー。2006年に日本やカナダなど5か国合作の映画『シルク』(2008年日本公開)の日本人ヒロインに抜擢され、その後は『相棒』シリーズ、『テセウスの船』(TBS系、2020年)など数々の人気ドラマに出演した。

 売れっ子女優になっても故郷愛を忘れなかった芦名さんに衝撃を与えたのが、2011年の東日本大震災だ。被災した家族や故郷の人々を支援するため、忙しい日々の合間を縫っては被災地を訪れていた。故郷に帰る際、特に楽しみにしていたのが、仲のよい兄との触れ合いだ。

「子供の頃から自然が大好きな子で、帰省するたびにお兄さんと釣りに行っていました。地元の白河ラーメンが大好きで、ラーメン店で働いていたお兄さんが実家で振る舞う手打ち麺を食べることをいつも楽しみにしていましたね。実家に戻ったら、息抜きにお母さんとパチンコに行くことも多かったようです」(前出・近隣住民)

 雑誌のインタビューでもたびたび兄の話を出すほどきょうだい愛が強かった。亡くなる直前の8月にも、彼女は兄と一緒に地元のラーメン店を訪問していたという。

「デビュー前からひいきにしてもらっていて、実家に戻られた際は決まって食べに来てくれました。8月にお兄さんと来たときもいつもと変わらず、おいしそうに700円の中華そばを食べていました。お兄さんとはとても仲よしで、いつもラーメンを食べながらにこやかに談笑していました」(地元ラーメン店女将)

 その最愛の兄が、妹の遺体の第一発見者となった。

※女性セブン2020年10月8日号