ダウンタウンの松本人志が民放で20年ぶりに新作コントを披露した6月12日放送の『キングオブコントの会』(TBS系)の“視聴率”が話題になっている。松本が自身のツイッターで「ネットニュースっていつまで“世帯”視聴率を記事にするんやろう?その指標あんま関係ないねんけど。。。」と言及したからだ。

 同番組の世帯視聴率は6.8%だったという記事も出ており、低いイメージを持たれてしまうことを懸念したのだろう。松本は続けて、「コア視聴率が良かったんです。コア視聴率はスポンサー的にも局的にも世帯視聴率より今や重要な指標なんです。そのコア視聴率が3時間横並びでトップやんたんです。だから。低視聴率みたいなミスリードは番組を観てくれた皆さん。後輩達に申し訳ない気がします。」とツイートした。

“コア視聴率”とは何か。“世帯視聴率”はもはや関係ないのか。TBS関係者が現在の業界事情を明かす。

「松本さんが言及してくれて、ありがたい限りです。今、TBSは4歳から49歳までの視聴者を“コアターゲット”にしています。TBSで配布される視聴率一覧表には、その年齢層を対象にした“コア視聴率”しか載っていません。データ上、“コアターゲット”が購買意欲を持っていると出ており、スポンサー獲得のために、その数字をいかに上げるかを考えています。正直、世帯視聴率はもう気にしてないですね」(以下同)

 以前は“世帯視聴率”が評価基準となってきたが、昨年4月からビデオリサーチ社は“個人全体視聴率”を主体に発表するようになった。“コア視聴率”を理解するには、まず2つの違いを知る必要がある。

「たとえば、Aという番組を8つの家のうち2つの家が見ていれば、世帯視聴率は25%です。この場合、3人家族のうち1人しか見ていなくても、1カウントです。一方、Aの番組を8つの家にいる24人のうち3人見ていれば、個人全体視聴率は12.5%です。世帯ではなく個人全体で計算すると、だいたい半分弱くらいの数字になります。だから長年、テレビ局は“個人全体視聴率”を主体にしたくなかったんです」

 個人視聴率の調査自体は1997年から行われていたが、昨年春からビデオリサーチの発表の主体がようやく世帯から個人に切り替わった。

「ここ数年でYouTubeやAmazon Primeなどネットの動画メディアが一気に台頭し、テレビ局の尻に火が付きました。世帯視聴率を重視していくと、50歳以上の視聴者を取りに行く番組作りになる。今は若者のテレビ離れが進んでいるし、人口が多くてテレビの好きな層に訴えかけた方が数字を取れますからね。

 しかし、いわゆるM3(男50歳以上)、F3(女50歳以上)はあまり購買意欲を持っておらず、スポンサーになってくれる企業が少ない。だから、世帯でも個人全体でもなく、テレビ局は独自に49歳以下を“コアターゲット”に定めたのです。TBSは“ファミリーコア” で4歳から49歳ですが、日本テレビとフジテレビは13歳から49歳まで、日テレは“コアターゲット”、フジは“キー特性”と呼んでいます。このように局によって、若干基準が異なりますし、名称も統一されていない。ビデオリサーチも“コア視聴率”を一般には発表していない。だから、ややこしいと言えば、ややこしい」

 業界内ではもはや“コア視聴率”が常識にもかかわらず、松本が不満を漏らしたように、いまだに世帯視聴率で図るメディアが出てくるのはどうしてなのか。

「ビデオリサーチが基本的に世帯と個人全体しか発表しないからでしょうね。それなら、馴染みがあって、高い数字の出る世帯を取り上げようと考えるのでは。それに、最近は局内で『視聴率の情報を外部に漏らさないように』という指令が出ているんですよ。数字が低いと叩かれると思って、ピリピリしている。実は、これが逆効果になっている面もあると思います」

 業界内の話題にもかかわらず、松本のツイートには数万の『いいね』が付いているように、社会は視聴率に関心が高い。

「もともと視聴率はテレビ局の内部資料ですが、いまや業界外の人も興味を持ってくれている。テレビ離れが顕著な中で、嬉しいことですよ。だったら、大々的に“コア視聴率”を公表していった方がいい。悪い数字だと隠したくなりますが、話題に上るだけいいと思う。誰からも相手にされなくなったら終わりですから。“コア視聴率”も最初は聞き慣れないけど、そのうち定着しますよ。

 ただ、問題は各局で“コア視聴率”の基準が違うこと。局によって、広告に関するデータが違うから、なかなか統一できないのでしょう。また、たとえばテレビ朝日はコア視聴率はそこまで芳しくないけど、世帯視聴率が好調なので、いまだに“世帯”を話題に出す。各局の足並みが揃わないんです。本来、同じテレビ業界なのですから、1つの基準に統一すべきだと思いますけどね」

“コア視聴率”がなかなか浸透していかない背景には、各テレビ局の事情が複雑に絡み合っている側面もあるようだ。