ダウンタウンの松本人志が民放で20年ぶりに新作コントを披露した6月12日の『キングオブコントの会』(TBS系)の“視聴率”と“視聴人数”が話題になっている。ビデオリサーチが発表した2つの数字が一見、乖離しているように見えるからだ。

 13日に世帯視聴率は6.8%(関東地区)と明らかになったが、16日には番組をリアルタイムで1分以上視聴した推計人数が2506万5000人に到達したと公表された。その調査によれば、若年層を中心に多くの視聴があり、ツイッターの国内トレンド1位にも入ったという。

 この2つの数字はよく吟味しないと、「視聴率6.8%なのに、2506万5000人が視聴したって、どういうこと?」という疑問を抱きかねない。テレビ局関係者が説明する。

「視聴率は毎分出ています。前者の世帯視聴率は、3時間なら3時間の“平均視聴率”です。後者の2506万5000人という数字は、あくまで“リアルタイムで1分以上視聴した推計人数”です。言ってみれば、割り算の“平均世帯視聴率”と足し算の“推計人数”です。計算方法が違うので、そもそも比べるものではありません。

 今は世帯視聴率20%、30%が簡単に出る時代ではないし、ライフスタイルが多様化し、メディアもテレビが必ずしも王様ではなくなったので、いろいろな調査方法を使って、数字を出してくれているのだと思います。ただ、指標が多過ぎると、受け止める側は混乱するでしょうね」(以下同)

「テレビ離れ」に拍車をかけかねない?

 5月に衝撃のデータが出たことも関係しているのか。NHK放送文化研究所の『国民生活時間調査』によれば、調査日にテレビを15分以上視聴した場合のみ『見た』として集計したところ、平日は10歳から15歳までは56%、16歳から19歳までは47%、20代51%と半数前後だっだと判明した。

「“テレビ離れ”が取り沙汰される中で、局にとって“若年層が見た”というデータは、嬉しいですよ。ただ、今回の“リアルタイムで1分以上視聴した”という集計方法だと、番組を長くやればやるほど、数字は自然と上がりますよね。これが、テレビにとって良いことだとは思えません。

 今、YouTubeの主流は10分前後で手軽に見られる動画です。長い間、テレビの前に座って見続ける人自体は年々減っている。各局は数年前までの50代以上を狙うような番組作りから脱却し、若者へ訴求しようとしている。それなのに、長時間番組を肯定するようなデータを出してしまうと、“テレビ離れ”に拍車をかける要因となりかねないのではないでしょうか」

 昨今、テレビ局内では番組を評価する際、ツイッターなどSNSで話題になったかも1つの指標とする節がある。

「正直、やたらと気にしますね。たしかに、反応があると良かったと思いますよ。でも、個人的には少し疑問があるんです。ネットをやりながらテレビを見ると、どうしても集中力は分散するじゃないですか。本当に番組にのめり込んだら、SNSに書き込まないと思うんですよね。もちろん、見終わった後に書き込んでくれる人もたくさんいるでしょうけど、“トレンド1位”はだいたい放送中に達成されているはず。

 それに、みんながみんな、ツイッターを使っているわけでもないし、日常的につぶやいているわけでもない。ジャニーズ系アイドルが番組に出ると、すぐツイッターでトレンド入りしますが、彼らの出演番組の全てが高視聴率かといえば、必ずしもそうでもない。あんまり気にしすぎるのも、どうかと思いますけどね……」

“リアルタイムで1分以上視聴した推計人数”“ツイッタートレンド1位”……テレビ業界は良い要素を何か探したいほど、切迫しているのかもしれない。