井上陽水(73才)がファーストアルバム『断絶』を発表したのは1972年。シングルカットされた『人生が二度あれば』、『傘がない』をはじめとする数々の名曲は世代を超えて歌い継がれ、50年の時を経ても色あせることがない。同世代の歌手が次々と「引退」を口にする中で、沈黙を守る陽水は何を思うのか。

「歌えなくなってやめるのではなく、まだ歌えるうちにやめたい」

 そんな思いとともに、加山雄三(85才)が年内でコンサート活動から引退する。6月20日に加山の所属事務所が明らかにしたもので、12月に豪華客船で開催される船上ライブが最後の公演になるという。

 一方、6月29日にラストアルバムをリリースするのは吉田拓郎(76才)。8年ぶりとなる待望の一枚だが、かねて吉田はこのアルバムをもって音楽活動に終止符を打つことを宣言している。

 惜しまれながら華やかなステージから去るのは、2人のレジェンドだけではない。

「高橋真梨子さん(73才)も今年の全国ツアーが最後のツアー。中島みゆきさん(70才)はラストツアーと銘打った公演がコロナで中断されたままで、このまま引退するのではと囁かれています。小椋佳さん(78才)も今年の公演を最後に音楽活動から身を引くことを明言し、一時代を築いた大物アーティストの引退表明が相次いでいます」(芸能関係者)

 昭和から平成、令和と3つの時代で第一線を走り続けたトップアーティストが次々と活動に区切りをつけている。目下、ファンや業界の関心を集めているのが、引退するアーティストと同世代の超大物である井上陽水の動向だ。

「2019年に歌手活動50周年の記念ツアーを敢行して以来、音楽活動を行っておらず、シングルは2018年リリースの『care』を最後に発表していません。以前は毎年必ず行っていたツアーやライブもコロナ禍で再開のめどが立たず、表舞台から姿を消してからすでに2年近く沈黙を守っています」(レコード会社関係者)

 1970年代のフォークソング全盛期をともに牽引した「盟友」である吉田も、陽水とは10年近く連絡を取っていないという。

「1990年代にも陽水さんは長らく全国ツアーを行わず、第一線から姿を消した時期がありました。あのときは完全復活まで5年近くかかり、引退説が取りざたされたほど。現在の状況も当時と似ていますが、今回は親交のあるアーティストでさえも、コロナが拡大したあたりから連絡が取れない状態が続いているといいます」(前出・芸能関係者)

 事実上の活動休止状態が続くうち、プライベートでは大きな動きがあった。

「実は陽水さんは設立以来、40年以上にわたって社長を務めてきた個人事務所『キャンプ』と『ファイヤー音楽出版』の代表取締役を昨年末に辞任しているのです。いずれも長男に社長の座を譲り、所有する不動産も徐々に家族に名義を変更していく意向があるといわれています」(前出・レコード会社関係者)

 陽水のいわば「生前整理」が、音楽業界に与える影響は小さくない。

「気がかりなのは、陽水さんの動きが表立ってほとんど伝わってこないこと。加山さんや拓郎さんのように、陽水さんも幕引きに向けた準備を始めているのではないかという観測が業界を飛び交っているのです」(前出・芸能関係者)

 現在、陽水は都心の一等地に2つの高級マンションを所有し、ひとりで暮らしているという。

「福岡で生活する妻の(石川)セリさんは、孫に囲まれて、楽しそうに過ごしているが、陽水さんはそういった世間一般の幸せとは感覚がかけ離れた人。孫も生まれて家族が10人になっても、年に何度か会うだけで、50年前に福岡から上京したときと同じく、気ままなひとり暮らしを続けているようです」(陽水の知人)

 公の場から消える前、陽水は雑誌『Pen』(2020年5月号)のインタビューで、これまでの半生について聞かれ、「ほとんどマズいことだらけなので、ただ、忘れていくだけです」と恬淡と語った。また、今後の目標についても彼らしくこう達観した。

「いまは、ぼくのゴールのことより、地球、人類のゴールを考えるときでしょう」

 引退も視野にあるのか。今後の活動の見通しについて、長男はこう代弁する。

「タイミングを見て活動できそうなら活動するのが(陽水の)スタイルです。状況が整えば音楽活動もやるつもりですが、特に決まった方針があるわけではありませんからね。いまは本人はテレビを見てゆっくり過ごしています。(体調面は)大丈夫ですよ」

 陽水が長い沈黙を破る日をファンは心待ちにしている。

※女性セブン2022年7月7・14日号