健康状態を映し出し、「内臓の鏡」と呼ばれる肌には、大まかに菌の“派閥”が3つ存在する。肌の潤いを守る善玉菌、肌荒れを引き起こす悪玉菌、そして、どっちつかずの日和見菌だ。医療法人康梓会ワイズサイエンスクリニック広尾統括院長で『オトナ女子の「美肌」づくり百科』(ぴあ)の著者である日比野佐和子さんが説明する。

「善玉菌として代表的なのは表皮ブドウ球菌。いわゆる『美肌菌』です。保湿成分であるグリセリンに似たものを生成して潤いを守ってくれるほか、肌を理想的な弱酸性に保つ働きもあります。

 悪玉菌の代表は黄色ブドウ球菌。増殖すると、かゆみや赤みなど炎症の原因になる。肌がアルカリ性に傾くと、悪玉菌が活性化します。日和見菌の代表がアクネ菌。普段は肌を守ってくれていて、悪さはしませんが、ストレスや食生活の影響で皮脂が増えると増殖してニキビの原因になります」

 皮膚には、約1000種類ほどの常在菌が存在するが、単純に「美肌菌」を増やせばいいというものではない。すべての菌がバランスよく存在することが大切だという。

「最も悪玉菌が増えやすくなるのが乾燥肌。その主な原因が、洗いすぎ、ストレス、紫外線、水分不足です。マスク生活のいま、『マスクのおかげで肌がしっとりしている』と勘違いしている人がいますが、吐いた息が蒸発するとき角質層の水分も同時に奪われている。マスクを外した瞬間、一気に肌の乾燥が進みます」(日比野さん・以下同)

 40代になると肌の水分保持力は赤ちゃんの50%まで下がる。化粧水や乳液などのスキンケアも大切だが、インナーケアができていなければ効果は半減だ。

「肌の代謝に重要なのはビタミンB2とB6。B2は皮脂の分泌をコントロールし、B6はたんぱく質の代謝を促して、肌の新陳代謝を高めてくれます。抗酸化作用が高いビタミンCは、コラーゲンの産生やシミ予防に効果的です」

 最近は水分を保持する成分として「セラミド」への注目が高まっている。そのセラミドを豊富に含むのが「生芋こんにゃく」だ。普通のこんにゃくは、こんにゃく芋を乾燥させる過程でセラミドが失われてしまうが、生の芋をそのまますりおろして作る生芋こんにゃくは、たっぷりのセラミドをそのまま摂取することができる。

「一日の理想の摂取量とされる0.6mgのセラミドが、生芋こんにゃく約100gに含まれます。内側からも外側からもケアすることで、効率よく肌の保水力を上げられます」

 美肌菌の妨げとなるのが辛いもの、脂っぽいもの、甘いもの。チョコレートやスナック菓子、ジャンクフードなどの食べ物は、肌に限らず、体中の細菌のバランスを乱す原因となる。

 しかし、がまんして制限するばかりではなく、ストレスをためないようにうまくコントロールすることが大切。細菌にとって居心地のいい環境が、私たちが最も健康でいられる状態と意識し、日頃から細菌の声に耳を傾ける習慣を身につけておけば、自然と体も心も整っていくだろう。

※女性セブン2021年9月30日・10月7日号