井ノ原快彦に「事務所どこですか?」津田寛治、ドラマ撮影現場で天然ぶり発揮

井ノ原快彦に「事務所どこですか?」津田寛治、ドラマ撮影現場で天然ぶり発揮

『ソナチネ』『模倣犯』など、数々の映画やドラマで印象的な役柄を演じてきた津田寛治さん。北野武監督、大杉漣さん、渡瀬恒彦さん…すべての人との出会いが宝物だという。

 

◆ドラマ『警視庁捜査一課9係』現場で、イノッチに天然ボケ!?

ドラマ『警視庁捜査一課9係』シリーズも『特捜9』とタイトルを改めて放送がスタート。13年目を迎え、チームワークも抜群だが、ドラマがスタートした当初、津田さんは驚くべき天然ぶりを披露していた!

−V6の井ノ原快彦さんを知らなかったんですって?−

「そうなんですよ。アイドルとかについては疎(うと)くて…。初対面のときに、井ノ原さんは現場での気遣いがすごいし、お芝居もとてもお上手だったので、どこの事務所の俳優さんかなあと思って『事務所どこですか?』って聞いたんですよ。そしたら『ジャ、ジャニーズです』って…。温厚でいつも優しい笑顔の井ノ原さんの顔が、さすがにちょっとこわばっていました(笑)」

−井ノ原さんもビックリしたでしょうね−

「そうでしょうね。本当に失礼なことをしてしまいました。家に帰ってカミさんに『井ノ原快彦さんって知ってる?』って聞いたら『イノッチでしょう?知ってるわよ。V6は誰でも知ってるよ』って言われちゃいました(笑)」

−『特捜9』と新たなタイトルで始まった人気シリーズも13年目、渡瀬恒彦さんがいらっしゃらないのが残念ですね−

「そうですね。昨年、僕たちは渡瀬さんが戻ってきてくださるという前提で撮影に臨んでいたんです。渡瀬さんが作ってきてくださったシリーズをきちんと守って、お迎えすることを目標にみんなで頑張っていたのですが、第1、2話の撮影中に訃報が飛び込んできて…。もうみんな放心状態で、心に大きな穴があいてしまったようでした。キャストみんなでその場に集まって泣きました」

−撮影も始まったばかりでした−

「渡瀬さんが作ってきてくださった11年間があったので、『渡瀬さんだったらどうするだろう?』と、常に渡瀬さんのことを意識しながら、みんなで話し合って撮影していましたね」

−渡瀬さんはどんな方でした?−

「そうですね。本当によくしていただきました。なかなか同じ役を10年以上も演じることはないですからね。俳優として必要なことすべてを教えていただきました。渡瀬さんが作り上げてくれた人間関係とか、そういうスピリッツみたいなものは根強くあったので、いなくなられても、みんなそれを引き継いでいるんですよね。渡瀬さんがスタジオのどこかにいらっしゃるみたいな感じでやっています」

 

◆津田寛治、複数のドラマを同時にこなす極意とは

映画、ドラマに出演する度にまったく違う顔を見せる津田寛治さん。多いときは4~5冊台本を抱えていることもあるというが、セリフをおぼえるのは、意外な場所だった。

−演じる役柄によって緩急自在に全く違う顔を見せるところがすごいですね−

「ありがとうございます。でもね、俳優というのはみんなそれをやりたくてなっていて…。でもそれが許されない俳優さんもたくさんいるんですよね。そんなことをやったらイメージが壊れてファンを裏切ることになるからって、それを押さえ込んで、ひとつのイメージの役に徹していらっしゃる方もいる。そういう方は本当に尊敬に値するなというか、すばらしいと思いますね。だから僕みたいにいろんな役をやらせてもらえるのは、本当に運が良かったし、ぜいたくなことをさせていただいているなあと思います」

−すごい勢いでお仕事をされていて、何本もかけ持ちということもあると思いますが、頭の中でどのように整理をされてるんですか?−

「整理はしないですね。昔はそういうことも考えていたんですけど、今はもう。カラオケボックスに台本を全部持って行って、こっちのセリフをおぼえていて、もう煮詰まって、ダメだこれはと思ったら、今度は違う台本を手に取ってこっちのセリフをおぼえて、それも煮詰まったらこっちという風に、もう何て言うか、物語も何も関係なく、ただただセリフだけをガーッと入れて、それで現場に行って、そこで起きたことで心を動かしてやるという感じです」

−津田さんはセリフがものすごく多いですが、いったん入れた上で現場でいかにでも変えられるという状態にもっていくわけですか−

「そうですね。やっぱり俳優さんによっては、フッと目を閉じると、台本が浮かんでくるという俳優さんもいて、それも絶対大事なことだと思うんですけど、『十津川警部シリーズ5』のときに内藤剛志さんと、たまたまセリフをどうやっておぼえるかという話になって、『僕なんかもう喉がやられちゃうんだよ。ほかの役者の何十倍もセリフをしゃべらなくちゃいけない役が多いから、耳鼻咽喉科に定期的に通っているんだよ』って言われたんですね。

それで、『それはしゃべるのも大変ですけど、おぼえるのも大変じゃないですか?』って聞いたら、『あれはね、字面でおぼえるとおぼえられないんだ、あれだけのセリフは。状況を思い浮かべなきゃいけない。何時何分の電車に犯人が乗って、そこで乗り換えたのが何時何分といったときに、字面ではなくて犯人が実際に電車に乗っているところを思い浮かべながらやっていく。普段、人はそうやってしゃべってるだろう?台本なんか思い浮かべないだろう?』って。

それはまさに、僕が最初に北野監督に教えられたことだったんですね。やっぱり第一線であれだけ戦ってらっしゃる俳優さんというのは、同じようなことをやってらっしゃる。自分がやってきたことは間違いじゃなかったんだなあって思いましたね」

(C) 2018 映画「名前」製作委員会

◆津田寛治、主演映画で新人女優とまな娘が“シンクロ”?

※映画『名前』→妻と別れ、経営していた会社が倒産した正男(津田寛治)は、茨城の片田舎で周囲にさまざまな偽名を使い、自堕落な生活を送っていた。ある日、正男を「お父さん」と呼ぶ女子高生・笑子(駒井蓮)が現れる。正男は笑子に振り回されながらも、自分の過去と向き合うことに…。

−主演映画『名前』では、本格的にお芝居をするのは初めての駒井蓮さんが相手役でしたが、いかがでした?−

「すばらしいです。やっぱり俳優って最初に芝居をやった瞬間というか、やり始めた頃の芝居の輝き方というのは、キャリアを積んだ俳優にはなかなか出せないので、その輝きというのは素晴らしかったですね。

それで駒井さんはこの役に懸けていて、クランクインする前に、演劇 を使ったコミュニケーションを通して『表現すること』や『相手に伝えること』の楽しさや魅力を体験できるワークショップもやっていて、どんどん心が柔軟になっていくというか、色んな七色になっていくんです。

最初はちょっと緊張で固まった色しか見えないのが、どんどん七色に変化していって、それがこの現場、茨城という場所に行って、そこでやったときに、また全然違うものになっていくというくらい柔軟な女優さんに、ちゃんと監督をはじめとするスタッフさんが仕上げていたんですね、駒井さんを。だからこそ、現場に入ったときに、台本にとらわれず、彼女の伸び伸びとした芝居をちゃんとフィルムにおさめることができたというのはあると思います」

−津田さんを相手に、よく動じないでやっていたなあと思いました−

「結構台本と違うことになっていたりするんですけど、それを監督自身も求めているところがあって。監督も予定調和ではなく、ハプニングがそこで起きてほしいという思いもすごくあったりしたので、駒井さんがここは明るくやるのに、ちょっと暗めになっていたら、駒井さんが何でそこで暗くやったのかっていうのを掘り下げて、だったら、明るくというんじゃなくて、暗くやるんだったら、ここの設定はこうしようみたいな作り方を結構されていたんですね。

だから本当に俳優さんの気持ちというのを、台本よりもカメラワークよりも、何よりも大事にしてくれる監督だったので、それもあって駒井さんのあの芝居が引き出されているんだなと思います」

−津田さんが雨にぬれた髪を乾かしてあげているシーンや彼女に自分の人生を吐露するシーンも印象的でした−

「難しかったんですよね。僕自身、小学校5年生の娘がいて、やっぱり何ていうか、世の中で自分の愛をほぼほぼ占めているのが娘なんです。息子もいるんですけど、もう高校生で同じ男になっちゃったので(笑)。もちろん愛してますけど。

ただ娘への愛というのは、それはもう異性に対する愛なんかはもうどこかに飛んでいっちゃうくらいすごい愛で、そういう愛を駒井さんにぶつけたときに、恋愛に見えるとまずいなというのがあって、そこは監督とも話していたんですけど、本当に恋愛に見えないようにするにはどうするだろうとか…。

色々考えはしたんですけれども、最終的に本当に駒井さんのことが自分の娘みたいに思えて、彼女といる時間が楽しい、その楽しさは何かと言ったら、忙しいさなかに娘といるときの楽しさとすごくシンクロしだしたので、もう何も気にする必要はない。娘に接するように接すれば良いんだって思って後半は芝居をしていて。

それで最後の夜明けのシーン、実はこうだったんだよって僕が話すところというのは、もともとは台本になかったんです。それで、『何か彼女に実はこうだったというような話をして下さい。声は使わないので適当に話してくれれば良いですから』って言われたので、二人で歩いて僕は適当にしゃべっていたんですよ(笑)。使われると思わないで。適当にペラペラペラペラしゃべっていたら、それをそのまま使われていたっていう…(笑)」

−すごくリアルでジーンと来ました−

「あそこのシーンのセリフは台本にはなく、その場で思いついたことをただ、それこそ北野組の最初みたいに言ってたんです。北野組でもそういうことがあったんですけど、『TAKESHIS‘』のときに、『こんなオーディションを俺はやりたくないんだという思いをただしゃべっていて』って言われて、それをまた使われたのとちょっとシンクロしました(笑)。

あのときも適当にね。でもそれは自分が積み重ねてきたキャラの背景だったり、そういうものがあったから出てきたんですけど、こういう男なんだって、監督と積み上げた履歴書があったんでね。ただしゃべっていただけなんですけど(笑)」

−それがあんなにすてきなシーンになったんですね−

「あれは駒井さんもすばらしかったですね。駒井さんが僕を見ている目っていうんですかね、初めて聞いたことだけど、でもわかったよっていう顔でずっと見られていたんですね。その目を見てたから、どんどん出ちゃったというのもあったんですけど…。あれは本当にアンサンブルでしたね」

−そういうことってあるんでしょうね。すべてが合致する瞬間というのが−

「はい。顔はずっと見えないまま、後ろ向きで全部告白していたという、あの構図は誰も意図してなかったけど、たまたまああなったというね。でも、そこにはちゃんと後ろ向きの男の伝わる何かがあったっていう、あれがよく皆さんがいうところの『映画の神様がおりてきた』ということだと思いますね(笑)」

 

指輪

BIRTH

 

◆津田寛治、妻への告白を「絵画」に…

2010年代に入ると映画監督業にもチャレンジ。短編映画『カタラズのまちで』(2013年)、短編オムニバス『かくて女神は笑いき』の一編『怯える女』(2014年)などを手がけ、監督としても高い評価を受けている。その他にも、本格的な絵画にも取り組み話題となるなど様々な分野での挑戦を続けている。

−俳優だけでなく、監督としても活動されていますが−

「下手の横好きで(笑)」

−監督業は実際にやってみていかがですか−

「ものすごく楽しいです(笑)。自分が書いた作品をたくさんのスタッフが形にしてくれるのは涙が出るほどうれしいですね。準備も撮影も編集も音入れも…何もかもすべて、最初から最後まで楽しい」

−次回作の予定は?−

「今のところまだです」

−北野監督との出会いがそのまま映画になりそうですが−

「そうですね。チャンスがあれば、そういったエピソードを盛り込んで撮りたいですね(笑)」

−「指輪」と「BIRTH」という絵を拝見させていただきましたが、絵もお上手なんですね―

「そんなでもないです。『指輪』はカミさんと付き合う前に『好きだ』と告白したら、そのときに付けていた指輪をはずして『これを持っていて』と渡されたのがうれしくて描いた絵で、『BIRTH』は息子が出来たときの喜びを絵にしました」

−ぬくもりを感じさせるすてきな絵ですね。個展などの予定は?−

「いえいえ、全然。絵画は年老いてから本格的にやろうかなと思っています。絵を描くというのは相当しんどいというか、結構時間も取られますから、なかなか二足のわらじは難しいです。

狭いアトリエの中で延々と向き合わなければならないというのは、ものすごい煮詰まるときは煮詰まるし、大変だし…。でもそれを乗り越えて完成させるという、その事象との戦う作業というのがあって…。だから本格的にやろうとしたら、相当腹をくくらなきゃいけないなと思います」

「たけしさんに拾っていただいたご恩というのを新しく出てきた人方に何とか受け継ぎたいなあという思いは常々あるんです」と話し、後輩の若手俳優にも機会を与えようと尽力している津田さん。北野監督、大杉漣さん、渡瀬恒彦さん…その思いを真摯(しんし)に受け止め、継承しようとする姿に日本映画界の未来を感じる。(津島令子)


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