PRESIDENT Online 掲載

人に恵まれないと人生はつらいものになる。シングルマザーの30代女性は、毒親に育てられ、1000万円の借金のある男性と結婚。夫は毎晩飲み歩き、職場不倫をし、挙句の果てに、臨月を迎えた女性を残して夜逃げした。現在、女性は2人の息子を育て、夫が求める離婚にあえて応じず、相応の婚姻費用を受け取っている――。

■毒母との離別

中国・四国地方在住の小倉沙美さん(仮名・30代)は、29歳で長男を無事出産した。医療職の夫(30歳)は出産に立ち会い、初めての子どもにメロメロだったが、育児には協力的ではなかった。相変わらず飲み歩き、連絡もなく帰ってこない日もある。

そこへ小倉さんの母親(52歳)が「手伝ってあげる〜」とやってきた。しかし母親は料理が下手で、家事も上手くない。だから案の定、

「私は女の子を2人も産んだ勝ち組。ちんこ付いてる男子なんて気持ち悪い!」
「こんなに手伝わされて、娘にこき使われる私って可哀想!」

などと、小倉さんが初めての育児で忙しくしていても、ただそこにいてべらべら喋っているだけだった。

産後3カ月頃、夫に1年間の単身赴任が決まる。「研修という名目のため、(給料上乗せの)手当が一切出ない」と夫は言った。

「つまり、私の育休手当(看護師)と手取り350万円の夫の給料で、生まれたばかりの長男にかかるお金と夫の奨学金返済(約400万円)、車のローン(約600万円)、単身赴任の生活費を賄わないといけなかったのです。借金まみれの夫に代わり、婚姻費用などを全額支払った後、ちょっとだけ残っていた私の婚前貯金が、この単身赴任期間で底をつきました……」

金銭的な不安と初めての育児に一人で追われる小倉さんは、いつしか産後うつになっていた。気持ちが沈み、横になっても眠れない日が続く。心療内科を受診すると、今度は母親にこう言われる。

「精神を病むなんてバカじゃないの? 心療内科なんて宗教なのに通うな! あんたの通ってる病院もいい噂聞かないよ!」

「母の基本行動は、他人の悪口を言って自分を上げること。私が産んだ孫の存在も、私の育て方も、悩む事すらも否定される日々……。それまでは母に振り回されつつも『あんたのためを思って』という言葉を信じ、母の愛情を求めていた部分もありました。しかし、私も母親の立場になったことで“本来の親”の気持ちがわかるようになったことと、私がつらいときにもマウントを取り、寄り添わない母を目の当たりにし、縁を切ることにしました」

プライドが高い母親は、自分から来ることや電話をかけてくることはなかった。その代わり妹の義理の家族や叔母などに小倉さんの悪口を言いふらしていた。