PRESIDENT Online 掲載

本当に必要な情報はどう取捨選択すればいいか。整理収納アドバイザーの米田まりなさんは「『知っておいて損はない』といった表現を耳にするが、私は大いに違和感を抱く。1杯目のビールがおいしいというように、ものも時間も思考もその時々に応じて適正量がある。その情報の活用機会がなければ、頭に入れていること自体、脳の容量で損することになる。同じ1杯のビールでも、6杯目より1杯目のビールのほうがおいしいというように、目標達成に関係のない新情報は一旦遮断をしてみることが大切だ」という――。

※本稿は、米田まりな『やる気に頼らず、仕組みで結果を出す 一生使える「目標達成」の技術』(大和出版)の一部を再編集したものです。

■「あればあるほどいい」という思考をやめる

「限界効用逓減(ていげん)の法則」とは、ミクロ経済学の消費者理論で用いられる概念で、「消費財1つ増えるごとに1つあたりの満足度が徐々に減少していく」ということを表しています。

代表例としては、「1杯目のビールはおいしい」として説明されることが多いです。

1杯目のビールと、すでに5杯飲んだ上での6杯目のビールは、同じ1杯でもおいしく感じる度合いが異なりますよね。

ものも時間も思考も、「あればあるだけいい」ということはなく、その時々に応じて適正量があります。

書斎の片付けを例に考えていきましょう。

例えば書きやすい黒ペンがあったとして、書斎のペン立てに10本置いてあっても、自分1人が同時に使えるのは1本なので、意味はありません(むしろ、ほかの文具が取り出しにくくなるので、ないほうがマシ、ですね)。

一方で、10本の黒ペンを、書斎に1本、キッチンに1本、玄関に1本、鞄に1本、ストック6本を押し入れになど、最適な位置に配置すれば、その価値をフル活用できたことになります。

最適な活用イメージが持てないものは、空間を邪魔するという観点で「ないほうがマシ」と捉え、買わない・もらわないよう注意して生活したいものです(防災用のストック備蓄の目安量は2週間分。それを超えるストックは買いすぎなので手放して!)。