プレジデント 2024年5月31日号 掲載

東証プライムに上場する化粧品メーカー・アクシージア。創業者で社長を務める段卓氏は、なんと中国の大連出身。日本で起業した彼を待ち受けていた「修羅場」体験とは――。

■ビジネスとは縁のない家庭で育つ

アクシージア 社長 段 卓

創業からずっと順調だった事業に急ブレーキ――私にとっての修羅場は2013年からの3年間。サロンもダメ、化粧品も儲からない。あの時期は全部が全部ダメでした。

現在のアクシージアの主力事業は、日本製というブランドを武器にした化粧品事業です。主な市場は私の出身国でもある中国。もともとはエステサロンの事業から始まりました。

私は中国東北部の大連出身なのですが、中国の北の人間というのは基本的に保守的で、あまり商売っ気がありません。両親は医者で、ビジネスとは縁のない家庭で育ちました。

■ビジネスを志すようになったきっかけ

お堅い環境で育った私がビジネスを志すようになったきっかけは、厦門(アモイ)大学への進学です。福建省にある厦門は、中国で最も早く設立された経済特区の一つ。経済活動が活発な街で、学校の友人たちも、みんな起業を目指していた。物理学を専攻していた私も、そんな環境で刺激を受けました。当時の憧れの人物は、孫正義さん。彼の日記や本を読んで、自分も野心を抱くようになりました。

大学を卒業した後、来日。経営学を学びました。ただ、すぐに何かができるわけでもないし、何か技術を身につけたわけでもありません。結局、最初の会社にはシステムエンジニアとして就職をしました。