プレジデント 2024年5月31日号 掲載

■「こうしたい」ではなく「こうしたほうがいい」

チームラボは、名称の通り「チームで仕事をする」ことを大切にしています。プロジェクトごとにさまざまな専門性を持った人が集まりアイデアを出し合うことで、初めて新しいものができると考えているからです。テレワークは実施せず、物理的に顔を合わせてコミュニケーションを円滑化させることで最高のパフォーマンスを発揮しています。

メンバーはみんな黙々と作品づくりに打ち込む芸術家タイプかというと、全然そんなことはない。どちらかというとエンジニア気質ではっきりと自分の主張をするメンバーばかり。空気は読めなくても仕事にプライドを持っている人同士がアイデアを出し合い、パズルのように組み合わせていく。これが、チームラボ流の強いチームのつくり方であり、クオリティの高いモノづくりです。

チームラボは、コミュニケーションが、とてもフラットな組織です。創業メンバーを中心とした役員5人を除いて、課長や部長など中間管理職のポストは存在しません。プロジェクトチームにもリーダーを置かず、年齢や経験一切関係なしに誰でも意見を言える環境です。

自由な発言が許されるがゆえに主張が飛び交い、わがままな意見ばかりになって、収拾がつかなくなるのではないか?

そう思われるかもしれませんが、実際はそんなことはありません。チームラボには、自分にはない得意分野を持った他のメンバーをリスペクトする文化があります。プロジェクトのゴールに対して、「どの発言が一番いいものをつくることに最適か」を判断し採用します。つまり、その場面で一番いいものをつくれる人の“わがまま”が通るということです。

チームラボのプロジェクトにおいては、設定したゴールから工程を一つ一つ因数分解し、各工程のクオリティを最大化できるノウハウやナレッジを持った人のヒエラルキーが高くなり、決定権を持つ仕組みです。たとえば、「空間づくりではAさんが素晴らしい」という場合、Aさんの意見が尊重されるべきは、空間づくりの工程に関してのみで、別の工程ではその工程のクオリティを上げられる人の意見が尊重されます。