投資信託の基準価額でもいいし、その中身である株式の値動きでもいいんだけど、とにかく資産運用って、この絵の通りに曲線なんだよ。当たり前じゃんと思うかもしれないけどさ。

本当は直線がいいよね。直線ってつまり預貯金だよね。スタートからゴールまで直線で推移するからノーストレス、下に曲がることはないということは元本割れはない。最高ですよ。

■資産運用は「直線をあきらめて、曲線を受け入れる」こと

でも今の預貯金金利は恐ろしく低いから、この絵みたいな角度の直線のはずは絶対なくって、地を這うほぼ真っ平の線になるわけ。

それが嫌だから、それじゃあ将来を描くことができないから僕や君たちはこの「直線の世界」を捨てるわけだ。直線にこだわっていたら未来は無いから、嫌だけど曲線を選ぶわけ。自らの目的のために「直線をあきらめて、曲線を受け入れる」――これが、リスクのあるもので資産を運用することの本質だと思う。

曲線を使って遊ぶのが好きな人もいる。売ったり買ったりと。曲線の振幅が大きいとギャンブル的な売買には確かに面白いんだろうね。ギャンブルって言うと悪く聞こえちゃうけど、趣味としての投資と考えれば全然悪いことじゃない。

でも僕らはそういう目的ではないわけだ。している「ゲームの種類」が違うってことだ。

■「真のリスク」は含み損ではない

なんてカッコいいこと言ってはみても、必ずやってくる元本割れの期間はそりゃ嫌ですよ。積立を始めて時間が経つほど元本が大きくなるから、損の実額も大きくなってキツイのよ。

まだ積立元本が10万円の時なら、2割下がったといっても2万円だけど、100万円積立したあとの2割は20万円だし、500万円だったら100万円の「含み損」を見ることになる。

100万円の含み損なんて聞くと「ヒー!」って思うだろうね。「そんなのムリ! やっぱ株式のファンドなんて嫌!」って思うかもね。

でもね、君たちにとっての「真のリスク」は実はココじゃないのよ。

僕や君たちが本当は嫌な曲線を受け入れるのは、曲線を受け入れてでも、その先に到達したいゴール、目的があるからだったよね。

君たちにとってのそれは、20年、30年後に「人生のハンドル」を自分たちが握っている実感を持った、余裕ある大人になっていることだと思う。つまり、君たちにとっての「真のリスク」とは「その夢が叶ってないまま20年後30年後を迎えていること」じゃないだろうか。

金銭的余裕はあまりなく、相変わらず上司や会社に人生のハンドルを握られた状態のまま歳をとってしまっていることじゃないだろうか。