■バターをたっぷり塗る、オリーブオイルに浸すのが正解

カロリーで考えれば、パンだけのケースが一番低くなります。

ところが、脂質を分解するという手間が入らない分、血糖値が上がりやすく太りやすいのです。

食パンブームは幾度もあり、数年前にも高級食パンブームが起きました。まずは「そのまま食べるのが一番」という売り文句をずいぶん耳にしました。

しかし、パンを食べるなら、バターをたっぷり塗ったり、オリーブオイルに浸して食べたりするのが健康上は正解です。

あるいは、卵や野菜など、具をたっぷり挟んだサンドイッチもいいですね。ただし、ハムやベーコンなどの加工肉は添加物が多いので、あまり食べないほうが無難です。

■ごはんは「五目チャーハン」、そばは「山菜そば」に

米飯も同様です。

明太子や佃煮など少量の「ご飯のお友」で食べるより、五目チャーハンにしたほうがいいのです。

肉や卵のタンパク質、炒めるための脂質によって、米飯の糖質の分解・吸収が遅れるからです。

おそば屋さんに入ったときには、かけそばや素うどんではなく、山菜そばや月見そばなど、少しでも具の多いものを頼みましょう。

繰り返しになりますが、みなさんの血糖値を乱高下させ、みなさんを疲れさせ、みなさんを太らせるのは、カロリーの高いものではなく、糖質が多いものです。

しかも、その分解・吸収が早いほど悪い作用が起きます。

大事なのは、糖質を単独で活動させないこと。

単独で暴れ回ることがないよう、できるだけ、脂質やタンパク質というお目付役と一緒に食べましょう。

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牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。 2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。 著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
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(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)