PRESIDENT Online 掲載

年齢を重ねた高齢者は性欲とどう向き合うべきか。医師の和田秀樹さんは「性欲は生命力の源になる『欲望』の一つだから、自ら蓋をしてはいけない。性的刺激は脳への刺激を与え、前頭葉の若返りにもなる。バイアグラは危険と思う人もいるかもしれないが、もともと心臓病治療のために開発された薬で、血管内皮細胞の機能を高め、動脈を若返らせる効果もある」という――。

※本稿は、和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)の一部を再編集したものです。

■性欲=「下品」「不道徳」で蓋をする日本

歳をとったからといって性的な欲望を持つことは、決して悪いことではないし、後ろめたく思う必要もありません。

性欲は、人間にとって非常に重要な本能の一つです。知性の高低、性格の良し悪し、地位などに関係なく、等しく備わっているものです。

一般的に性欲は、老化に伴って減退すると思われています。

しかし、実際のところは、性欲が減退しているというよりも「行動意欲が落ちている」というのが正解です。人間の性的欲望は、年齢を重ねても、そう簡単に失われるものではありません。

性欲は生命力の源になる「欲望」の一つです。自ら蓋をしてはいけません。

性欲を「下品」「不道徳」などとする空気が日本にはいまだにありますが、それは大きな間違いです。そもそも昔の日本は今よりも、ずっと性に対して鷹揚な文化であったことはご存知でしょうか。

農村では、夜這いや祭りに乗じてのフリーセックスが各地で行われていたし、江戸文化研究者の田中優子さん(法政大学第19代総長)によれば、その際、女性から誘うこともままあったということです。