リニアの国家プロジェクトが「たった3%の土砂」で止まっている…JR東海が頭を抱える「静岡の土問題」の隘路
プレジデントオンライン6/12(木)7:15

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Anucha Ruenin
■工事で出る残土の97%の置き場所は決まっている
JR東海は、リニア南アルプストンネル静岡工区工事で発生する土砂を約370万立方メートルと見込んでいる。
そのうち、全体の97%、約360万立方メートルの発生土を処理するために、大井川左岸に面した燕沢(つばくろさわ)上流付近に「ツバクロ残土置き場」を建設する計画である。リニアトンネル工事現場にも近く、好都合な場所である。
このツバクロ残土置き場について、川勝氏は2022年8月の現地視察で突然、「深層崩壊について検討されていない。残土置き場にふさわしくない。熱海土石流災害を踏まえても極めて不適切だ」などと認めない方針を示してしまった。
川勝氏の退場のあと、土石流の同時多発の可能性等の広域的な複合リスク、対岸の河岸侵食による斜面崩壊の発生リスク、周辺の断層などの議論を行い、ことし3月の専門部会で、ようやくJR東海の説明を受け入れた。
もともと川勝氏らの言い掛かりだったから、ツバクロ残土置き場が認められるのは時間の問題だった。
■静岡県が施行した厳しい盛り土条例
主要なツバクロ残土置き場が決着したことで、ようやく藤島残土置き場の議論に入ることになった。
藤島残土置き場はリニアトンネル工事現場から約10キロ下流に位置し、2013年9月に設置計画が立てられた。ヒ素、セレンなど自然由来の重金属が含まれる汚染土壌約10万立方メートルの盛り土ができる施設である。
しかし、2021年7月に発生した熱海土石流災害の原因となった不法盛り土の問題をきっかけに、静岡県は2022年7月に非常に厳しい盛り土条例を施行した。
環境汚染の拡散防止を目的に、基準値を超える自然由来の重金属など土砂基準に適合しない盛り土を原則禁止とした。その条例が未着工のリニア工事にも適用されるのだ。
要対策土の盛り土は原則禁止なのだから、適用除外にしてもらうしかない。
適用除外となるのは、生活環境上の支障を防止するための措置を知事が適切と認めた上で行う盛り土としている。
JR東海は「二重遮水シートによる封じ込め対策を行い、遮水型として要対策土対策を取る。近くには井戸水等の利水状況がないこと、河川からの高さ(約20メートル)が十分あり、大井川の増水による影響が極めて小さく、排水管理が十分実施できる計画」などの万全の対策を取るとしている。
つまり、「生活環境上の支障を防止するための措置」は知事が適切と認める上で、何らの問題もないのだ。










