リニアの国家プロジェクトが「たった3%の土砂」で止まっている…JR東海が頭を抱える「静岡の土問題」の隘路

プレジデントオンライン6/12(木)7:15

リニアの国家プロジェクトが「たった3%の土砂」で止まっている…JR東海が頭を抱える「静岡の土問題」の隘路

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Anucha Ruenin

■「国の法解釈」の行方は…

となれば、適切な生活環境上の支障を防止するための措置を行うことを前提に、藤島残土置き場をそのまま認めてもらいたいのがJR東海の本音である。

いくら「スピード感を持った解決」を目指す鈴木康友知事でも、リニアトンネルから遠く離れ、単に盛り土でしかない要対策土の残土置き場を認めるわけにはいかないだろう。

だから県は、藤島残土置き場が認められる方策を「法解釈」に求めて、リニア事業を推進する立場の国に任せたのだろう。ただ、土壌汚染対策法を所管するのは環境省であり、国交省がどのような法解釈を示すことができるのか、いまのところさっぱりわからない。

■「条例の壁」を崩すのは至難の業

どんな法解釈をしても、県盛り土条例を厳格に運用すれば、適用除外の要件を満たしていないから認められないことになる。となると、JR東海がいくら安全性を強調しても、県リニア専門部会では結論は出てこないだろう。条例という壁を突き崩すことはできないからだ。

県盛り土条例の改正などを視野に入れれば、県議会で議論されることになる。だがそれはリニア工事を特別扱いにすることになり、簡単には進まないだろう。

熱海土石流災害を教訓に、静岡県は厳しい盛り土条例を新設した。結果として、リニア工事に大きな影響を与えることになり、JR東海にとっては、まさしく川勝前知事の残した最悪な「置き土産」となってしまった。

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小林 一哉(こばやし・かずや)
ジャーナリスト
ウェブ静岡経済新聞、雑誌静岡人編集長。リニアなど主に静岡県の問題を追っている。著書に『食考 浜名湖の恵み』『静岡県で大往生しよう』『ふじの国の修行僧』(いずれも静岡新聞社)、『世界でいちばん良い医者で出会う「患者学」』(河出書房新社)、『家康、真骨頂 狸おやじのすすめ』(平凡社)、『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)などがある。
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(ジャーナリスト 小林 一哉)

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