カタールで行われたU23アジアカップを制したU-23日本代表。ここからはパリ五輪に向けて動き出すことになるが、今から気になるのがメンバーであろう。

パリ五輪に登録できるメンバーは18名。もしここにオーバーエイジの3名が加わるとなると、実質15枠を巡った厳しい争いとなる。

U23アジアカップに出場した23名とクラブの事情で呼ばれなかった海外組が中心となるが、わずかな可能性ながら国内から滑り込みを果たす選手がいるかもしれない。

6月に行われる欧州遠征メンバーの発表は30日。ここでは、U23アジアカップに出場しなかった国内組の中からパリ五輪でメンバー入りするかもしれない有望選手たちをお届けしよう。

植中朝日





所属クラブ:横浜F・マリノス

U23アジアカップは最終選考で漏れたものの、国内での実績において選出されたメンバーに引けをとらないのが植中朝日だ。

小学生までボランチで、その後FWとして大成しプロ入り。J2のV・ファーレン長崎で19試合10得点を記録し、昨年、横浜F・マリノスへ引き抜かれた。

今季就任したハリー・キューウェル監督のもとでは再び低めのポジション(インサイドハーフ)で起用されており、先日行われたAFCチャンピオンズリーグ準決勝の2ndレグでは韓国の蔚山現代から2ゴールを奪い、クラブ初の決勝進出に大きく貢献した。

U-23日本代表の大畑歩夢(浦和)は小倉南FCの同期でプライベートでも仲が良い。パリ五輪行きを実現するには松木玖生、荒木遼太郎(ともにFC東京)ら強力な選手との争いに打ち勝つ必要があるが、高い得点力を生かして滑り込みを狙いたい。

松村優太





所属クラブ:鹿島アントラーズ

“伊東純也の後継者”として期待がかかる松村優太もまだ候補になり得る存在だろう。

名門・静岡学園で「10番」を背負い全国制覇した逸材は、「和製アザール」と形容された高速ドリブルが魅力。その脚力は日本屈指で、今季のJ1リーグでも上から5番目に速い34.9km/hを記録している。

U23アジアカップには選出されなかったものの大岩剛監督のU-23代表には定期的に招集され、昨年11月に行われたアルゼンチン代表との強化試合ではゴラッソも決めた。

得意とする両ワイドには好敵手が揃うが、スピードという点では彼が一枚抜けている。その個性を武器に滑り込みを狙いたい。

松岡大起





所属クラブ:アビスパ福岡

2001年生まれは久保建英が圧倒的な存在だが松岡大起はそれに次ぐ、本来であればこの世代の中心であるはずだった。

サガン鳥栖の下部組織で育ち、10代にしてレギュラーを獲得。広大なプレーエリアとボールを奪い切る力に優れた彼はフランス代表MFエンゴロ・カンテに例えられ、2022年1月には20歳でA代表に初選出された。

しかしステップアップを掲げた清水への移籍で躓くと、昨年にはブラジル2部のグレミオ・ノヴォリゾンチーノに期限付き移籍するが1年間ほぼ出場できず。海外移籍を急ぐあまり常に難しい選択をしてきた印象は拭えない。

今季は井手口陽介を再生した福岡に加わり復調気配を見せている。パリ五輪で再び彼の名前を見ることができるだろうか。

越道草太







所属クラブ:サンフレッチェ広島

パリ五輪世代の代表には全く呼ばれていないが、20歳の越道草太はこれから面白い存在になるかもしれない。

広島生まれで広島のジュニアユースとユースを経て昨季トップチームに昇格。デビューからすぐにアシストを記録するなど脚光を浴びた。

元日本代表DF駒野友一(現広島の普及部コーチ)を師匠として慕っており、その師匠と同じく両ワイドでのプレーが可能で、左右両足から精度と速度のあるボールを供給することができる。

今季は試合毎ごとに成長を感じさせるプレーを見せている。先日の名古屋グランパス戦では強烈なシュートからJ1リーグでの初得点も記録した。

MF登録でシャドー起用もあり、今後アタッカーとして成長するのか駒野と同じサイドバックとして大成するのかまだ見極めが難しいが、18名しか選ばれない五輪において彼のユーティリティ性は有用かもしれない。

染野唯月





所属クラブ:東京ヴェルディ

U23アジアカップを制した日本代表だが、FW陣を見渡すとエースの細谷真大(柏)は大会を通して不調。控えの内野航太郎(筑波大)もまだ19歳と若く、得点という個性はあるもののできることが限られるために心許ない面がある。

染野唯月はその不安を一掃してくれる存在になるかもしれない。尚志高から2020年にプロ入りした22歳のストライカーは、今季16年ぶりにJ1へと復帰した東京ヴェルディでエースとしてチームを牽引している。

もともとは鹿島アントラーズでプロ入りし、現在も保有権は鹿島にある。その鹿島のレジェンドである大迫勇也(現ヴィッセル神戸)を高校時代から憧れとして公言しており、収める技術や攻撃の万能性において憧れへと近付きつつある。

またプロ入りからゴールを記録した試合は21試合無敗という“不敗神話”もあり、彼が選ばれれば本大会のラッキーボーイ的な存在にもなり得るかもしれない。