6月22日午後5時、NDソフトスタジアム山形でモンテディオ山形とベガルタ仙台との今季2度目となる「みちのくダービー」が開催される。

4月13日のJ2第10節で開催されたダービーは仙台に0-2で敗れ、公式戦通算22勝16分19敗(前身のNEC山形時代を含め)となった。昨季は山形側で開催されたダービーでは4-1の大勝を飾っただけに、今季もその勝利の再現を狙いたい。

決戦前に、仙台から山形に今季移籍した氣田亮真にQolyがインタビュー取材を実施。移籍の経緯、背番号10番への思い、山形で得た成長、ダービーへの意気込みなどを聞いた。



移籍の経緯



――仙台から山形に今季加入しました。山形への移籍の背景などを教えてください。

仙台では3年間で多く試合に出させてもらいました。

常に自分にベクトルを向けてやってきてますけど、自分の中で大きな変化が必要じゃないかと感じていた。

(仙台にいた)3年間はもちろん全力でやりましたし、常に自分に目を向けてやってきましたけど、もっと何かを変えたいという思いがあった。その中で山形からお話をいただいてという感じでした。

――仙台では充実した3季過ごされましたが、振り返って仙台でのシーズンはいかがでしたか。

1年目は2部に降格してしまいましたし、2年目も前半戦は良かったですけど、後半戦は勝てなくて…。

結局プレーオフも出られなかったですし、去年もなかなか勝てませんでした。

試合には出ましたけど、チームの結果はあまり良かったものとは言えないので…。ただ失敗ではないと思いますし、いい経験をさせてもらえました。

禁断の移籍、託された背番号10



東北の名門クラブである両チームは長年熱き戦いを繰り広げただけあり、当然両クラブ間の移籍は「禁断の移籍」と呼ばれることがある。今季仙台から氣田とMF加藤千尋が山形に加入したことで大きな話題となった。

ピッチ外での反響は大きかったが、変化を求める氣田は移籍の決断に踏み切った。

横浜FC瀬古(左)とマッチアップする仙台時代の氣田


――ライバルチームである山形からのオファーに葛藤などはありましたか。

もちろんお互いの関係、チームの関係性は分かっていました。だけど、それ以上に自分の何かを変えたいものがあって決断しました。

――人によっては「禁断の移籍」といわれることもありますが、このことについて氣田選手はどう感じていますか。

SNSで色々言われたみたいです。僕のインスタのほうにも結構酷いコメント、いわゆる誹謗中傷のようなものをいただきました。

それが、そういう「禁断の」といわれるものなのかと感じました。

――山形では背番号10番を託されました。

僕から言ったわけじゃないですね。クラブからいわれていただきました。

――10番といえばエースナンバー。クラブからの期待にどう応えていこうと考えていますか。

中心になってやらないといけないと思いました。ただ結果がそこまで出ていないので、そこの責任は強く感じています。



――話変わって、新天地である山形の町の印象を教えてください。

風景としては「山が多いな」という感じですね。町をちょっと歩いてみたりすると、「こんなところにこんないいお店があるんだ」という発見をできたことも地方チームならではという感じですね。そこは面白いなと楽しんでいます。

――山形の果物やお米も美味しいですよね。

そうですね。ご飯は美味しいし、お肉も美味しいです。この間さくらんぼも食べましたけど、美味しかったです。

古巣仙台との決戦に向けて



仙台では3季在籍した氣田は、リーグ戦100試合(J1で29試合、J2で71試合)15得点(J1で3得点、J2で12得点)8アシスト(J2のみ)と主力選手として仙台の攻撃をけん引してきた。

今季は山形でリーグ戦20試合1得点と本来の力を出し切れていない状況だが、優れたテクニック、相手のマークを軽やかにはがすドリブルに、チャンスを創出するパスで局面を打開するシーンを見せてきた。

ただ今季の結果に満足していないだけに、この決戦にかける思いはひとしおだ。



――古巣であるベガルタ仙台とのダービーマッチが近づいています。今季の仙台の印象について教えてください。

そんなに試合を見ているわけではないので詳しくは分からないですけど、勝負強いというか、勝ちを重ねているなという印象はあります。

――仙台で開催されたダービーでは0-2で負けました。あの試合で見えた課題、改善点を教えてください。

あのときからチームのやり方はだいぶ変わっています。僕自身の立ち位置もまた変わっているので何とも言えないですけど、気持ちの強さみたいなものは大事だと思います。

――古巣との対戦になりますけど、マッチアップしたい選手はいますか。

小出悠太選手ですね。仲良くしてもらっていましたし、いまでもたまに連絡を取ります。前回の後半に、僕がちょっと抜け出したところで彼の素晴らしいプレーで阻まれました。あのイメージが強くあるので、今度は僕が上回りたいです。

――手の内が分かってる相手との対戦。自身の強みであるドリブルや柔らかい繊細なタッチ、チャンスメイクを活かして仙台をどう打ち負かすのか、イメージを教えてください。

そんなにちゃんと見てないので分からないですけど、メンバーからして後ろのセンターバック2枚はだいぶ固まっている。

そこの信頼が厚いということは、やっぱり堅さがあるのかなというイメージがある。その二人をどう攻略するかが大事かなと思います。



――「みちのくダービー」は日本全国でも有数の熱いダービー。通常の試合と違って燃えるものはありますか。

そうですね。それはもちろんあります。

――昨年山形側のダービーは山形が勝ちました。山形での「みちのくダービー」は2連勝がかかっています。

連勝とかあまり関係ないと思いますし、本当に一つ一つ、1戦1戦だと思います。

去年勝ったからというのは関係ないと思うので、この試合を大事にしたいです。

――山形側でのダービーの意気込みについて教えてください。

前回対戦では敗戦したので、その悔しさは全員が持っている。多くのサポーターが来てくれると思いますし、雰囲気は最高だと思う。全員気合が入っています。

ここでこの大一番が来たことはものすごく意味がある



今季の山形はリーグ戦6勝4分10敗の勝点22で14位と低調であり、J1昇格プレーオフ圏内6位の仙台と勝点が12ポイントも離れている状況だ。この大一番を制して今後のリーグ戦に向けて勢いをつけたい。

ここまで思うような成果を出せていない山形の背番号10だが、新天地での成長を実感している。ダービーでは本来の実力を発揮して、反撃の狼煙を上げる構えだ。



――山形に移籍して渡邉晋監督の下で指導を受けています。現時点で得た手応えと成長を教えてください。

仙台でも自分の武器はドリブルと考えていましたけど、それ以外も身につけないといけないと感じていました。

その中で僕の所属2年目に遠藤康さんが加入しました。アドバイスをもらったとかではないですけど、遠藤さんのプレーを練習中に観察した中で、引き出しの多さを尊敬していますし、(自分が)できる部分がありました。

そこで身に付けた中で、最近は引き出しの多さを考えてやっています。自分もいろんなことを考えすぎていた部分もありましたけど、山形に来ていい意味でそぎ落とす、必要なものを揃える、プレーをシンプルにと、もう一度思い出してきたかなという感じがあります。

結果は出ていませんけど、最近はそこら辺の整理が自分の中でできてきたと思う。それはナベさんに出会って、またいい方向に行っていると思います。

仙台時代プレーを参考にしたMF遠藤康


――前節鹿児島戦では惜しい形で1-2と敗北しました。チーム、自身のコンディションは上がっていますか。

チームとしては、内容的にものすごくいいものを出せていると思います。チームの狙いを表現できていると思う。チーム全体の調子はものすごくいいと思います。

ただ最後の部分で僕がネットを揺らすかどうかが結果を左右してるところはある。そこは100%自分の責任だと思います。

自分の仕事を全うしないといけないと思っている。チーム全体としてはみんな素晴らしいと思いますし、僕も感覚というか調子がいい。最後に(自分が)ネットを揺らすかどうかにかかっていると思います。

――今季は順位の部分で納得いかない部分があると思います。そして、この「みちのくダービー」がターニングポイントだと思います。今季J1復帰に向けてチームを向上させていくためのイメージ、青写真を教えてください。

ここでこの大一番が来たことはものすごく意味があると思う。

ここで勝ってきっかけや自信を掴めば、化学反応が起きると思っている。何度も言うように、自分がネットを揺らすことだけに集中して頑張りたいと思います。

――チームと自身の目標、展望を教えてください。

諦めてないので昇格はもちろん狙います。個人としてはチームトップの結果を常に目指している。

ここからが勝負だと思いますし、ここからがリーグの面白い部分だと思うので気合いを入れて頑張ります。 

――山形サポーターはユアスタで悔しい思いをされました。勝利を渇望しています。山形サポーターへのメッセージをお願いします。

とにかく全力で、あとは自分がネットを揺らすかどうかにかかっていると思う。

運がないと表現していいか分からないですけど、そういうチャンスシーンが最近多い。皆さんの後押しでその運をこっちに動かしてほしいと思います。



新天地を求めて仙台から山形へ完全移籍した氣田。「禁断の移籍」とピッチ外では大きく騒がれたが、あのとき決断した選択と覚悟は一切揺るがない。古巣であり、宿敵相手にゴールを決めて、背番号10がチームを2015年以来10季ぶりのJ1復帰へと導く。