「浪花のモーツァルト」の愛称で、特に関西で親しまれた作曲家のキダ・タローさんが14日、93歳で亡くなられました。 『プロポーズ大作戦』(現ABCテレビ)などの人気番組のテーマソングや、かに道楽などのCMソングを多数作曲されたのはもちろんのこと、『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)では最高顧問としてお茶の間に長い間親しまれていました。 CBCラジオで5月16日に放送された『北野誠のズバリ』では、仲人を務めてもらい、公私ともに親交のあったパーソナリティの北野誠が、あらためてキダさんとのエピソードを振り返りました。

     

人気番組にも出演

北野が突然の訃報に驚いたのは、今年3月20日の『北野誠のズバリ』に電話で出演され、元気な声を聞いていたため。
その際に「柿の種を食べて歯が欠けた」という話を聞くほど元気なイメージでした。

キダさんと北野は昔から『フレッシュ9時半!キダ・タローです』(ABCラジオ)などで共演していましたが、やはり印象深いのは『探偵!ナイトスクープ』。

特に「岸和田の信号機」は、多くの関西人が覚えている企画です。

これは「大阪府の岸和田駅前にある信号機の音程がおかしいので調べてほしい」という視聴者からの投稿に対し、北野が調査に向かったというロケ企画。

「自分では音程がずれているかどうかわからない」ということで、プロの音楽家であるキダ先生に判定してもらおうというものでした。

最初は「微妙すぎるズレだと私でもわからないかもしれない」と言いつつ、キーボードを持参して音のズレを判断しようとしたキダさん。

実際にとおりゃんせの曲が鳴ると、途中であまりのズレ具合に激怒。

「こんなズレ、プロでなくてもわかるわ!」と言わんばかりに自分のネームプレートで信号機を叩くというオチをつけました。

長生きの秘訣は?

『ズバリ』に出演した3月下旬まで元気に活躍されていたキダさん。
昔から元気の秘訣を尋ねられると、「他人と鍋を食べないこと」と語られていたそうです。
そのため、北野は番組の忘年会の幹事を務めると、鍋料理を選ばずに立食形式などにしていたそうです。

その他にも、ストレスを溜めないように「絶対に嫌な奴と付き合わない」ようにしていたことや、「肉をよく食べる」とも語ったそうです。

北野はお中元とお歳暮に高級な肉を欠かさず送っていたものの、5年ほど前に「もうお年だから肉は止めよう」と思い、キダさんに電話したところ「ええ肉なら食える」との答え。

お肉を食べるから元気なのか、元気だからお肉が食べられるのかわかりませんが、ストレスフリーとおいしい物を食べるのが、健康の秘訣のようです。

芸能界復帰の挨拶のつもりが…

長年親交があったふたりですが、北野が一番忘れられないエピソードがあるとのこと。

10年以上前、北野が謹慎から仕事復帰することが決まった際、キダさんに直接会って復帰の報告をしようと、ウェスティンホテル大阪のカフェラウンジで待ち合わせ。

キダさんは席に座るなり「金は貸せんで」。
復帰を祝う言葉ではありませんでした。

北野「その時、このオッサン、何言うてんねんと(笑)。『先生、そうじゃなくて復帰することが決まったのでご報告に』って言ったら、『そうか。思いつめた表情してたから、金貸してくれ言うんか思たわ!』と。
久しぶりに会うて、最初に言うことがそれか!と思いましたね」

親しいからこそ、遠慮なく言い合えたのかもしれません。

北野は最後に感謝の弁を述べつつ、ご冥福をお祈りしました。
(岡本)