5月12日放送のCBCラジオ『八木志芳の私たちは求めてる』では、パーソナリティの八木志芳がおすすめの映画として『夜明けの夫婦』(2021年製作:配給 スターサンズ)を紹介しました。 この作品では「セックスレス」という現代日本の問題をユーモア混じつつ、正面から描いています。八木はこの作品から「セックスの意味」を真剣に考えたようです。

     

セックスレスはどっちのせい?

『夜明けの夫婦』の大まかなあらすじを紹介します。

コロナ禍もようやく一応の終焉を迎えた頃。
さら (33) は夫、康介 (31) の家で康介の両親と一緒に暮らしていますが、夫婦にはまだこどもはいません。

ある日、義理の母・晶子から遠慮がちに「そろそろこどもは?作らないの?」と尋ねられたさら。しかしパンデミックの間、さらと康介は、長く家に居たのに、すっかりセックスレスになっていました。
実は最近、康介に不倫相手がいることに気がついていたさらは、夜中にコンドームを捨てました。

一方、晶子はコロナによって年老いた母を亡くしたこともあり、「どうしても孫の顔を見たい」という欲求で精神的に不安定になっていきます。

この映画のテーマは「セックスレス」。
世代同居の家族を主人公にすることで、1組は若い、もう1組は熟年の夫婦を描き、現代日本の夫婦の姿を映し出している作品だと感じたと八木。
若い夫婦のさらと康介の問題は…。

八木「ずっと一緒にいたからこそレスになってしまったという夫婦」

妻のさらは、康介を何度もベットに誘いますすがうまくいきません。そして、康介は影で不倫をしていました。

八木「こういうのって、すごい現実世界でよく聞く話だなと」

セックスレスの夫婦の片方が浮気をしているという話は、八木の周りからも聞こえてくる話のようです。

熟年夫婦にもある闇

一方、熟年夫婦である康介の母親・晶子は母を亡くし「命」について深く考える中、自分の教え子が出産して幸せそうな姿を見て、「孫が見たい」との思いにかられ、息子夫婦にこどもを作るよう遠回しに迫るようになります。

そんな晶子の気持ちはどんどん強くなり、次第に「自分のこどもが欲しい」という思いに変化していきます。

ある夜に晶子は夫にセックスを迫るのですが、こちらも熟年夫婦にありがちなセックスレス状態でした。
晶子の様子に驚いて拒否をしてしまう夫。

八木「『子作りのためのsex』に囚われて、どんどんおかしくなっていく2組の夫婦を描いていってる映画」

セックスの意味とは?

番組では、何度か「セックスレス」に関する悩み相談を取り上げたことがあります。

八木「セックスというのは子作りのためなのか、愛情表現のためなのか、それとも夫婦のコミュニケーションにおいての義務なのかみたいなことを、性欲処理なのかとかめちゃくちゃ考えた」

八木は元カレとセックスレスになったこともあり、その原因を「恋人同士からの馴れあいになったせい」と振り返ります。元カレはセックスが義務的になっていたのではないかと感じていたそう。

恋人同士だったら別れれば済みます。でも、結婚したカップルにとってのレスというのは、 家庭や子作りなどいろいろなものも巻き込んで、本人に相当ストレスが溜まるのではないかと思案します。

八木「ストレスが溜まって、夫婦にとって大事なことやセックスの意味も見失ってしまうのかな…なんて感じました。そういうことを気づかせてくれた映画」

全体的にBGMがなく、会話劇のように進んでいく映画です。
現在、amazonプライムのレンタルで配信されているそうなので、よかったらチェックしてみてください。 
(野村)